寝た子を起こすと・・・・
人間の眼は左右に離れて二つあり、違う角度から見た微妙に違う像を一つに融像させて立体的に見ているのです。
ただ、左右の眼位が大きく違っていたり、度数が大きく違っていたりして、片目でしか物を見てない状態(モノビジョン)の方も一部おられます。
片目づつの矯正視力は良くても、左右の位置や大きさが違って融像出来ずに右眼左眼バラバラに二つに見えると不都合なので、脳は二つの内一つの像を消す(抑制)のです。
モノビジョンの方も生活する上では何の問題もありません・・・・
距離感が必要なスポーツや一部の仕事では不利ですが・・・・
前置きが長くなりましたが、
モノビジョンの方の寝ている片目を無理やり起こすと、複視(物が二つに見える)になったり、空間認識がおかしくなったり、眼精疲労を引き起こしたりする場合が多いので「寝た子を起こすな」と言われる事があります・・・
今回の事例
弱度遠視で左右差があり、大きい外斜位と上下斜位があります。
遠視は調節力でピントを合わす事が出来るので、裸眼視力は良好です・・・・
が、調節力が豊富な若いうちは問題無かったのですが、老眼の出る大人になると色々問題が出てくるのです・・・・・
遠視で眼精疲労が出るのは眼鏡業界では当たり前の事ですが、単純に遠視部分だけを矯正すると両眼視に問題が生じる場合があります。
外斜位がある遠視眼の場合、輻輳調節を使って凄い視力(2.0とか3.0)が出るとか(笑)そういう人に遠視だけ矯正してしまうと逆効果だったりします。
この方今まで使っていた眼鏡は、遠視だけを矯正したもので運転時等にだけ使用していました。普段からモノビジョンで見ているので遠視だけの矯正でも何も問題はありません。視力が良くない左側の視力も矯正されて視野は広くなります。
例えは良くありませんが、顔の左右側面に眼がある草食動物の見え方ですかね??? 獲物との距離が重要な肉食動物は顔の正面に左右眼があります。
話は変わりますが、プロのスポーツ選手でホークアイ(空の上からグランド全体を見ている感覚)の優れている方は眼位が広い方かな・・・・と、某有名競馬騎手や某有名サッカー選手のテレビ越しで見る眼を見て思っていたのですが、ノールックパスをガンガン決めるバスケットボール選手にはそういう見た目の眼の方はいませんよね・・・バスケットボールにはフリースローや3ポイントシュートがあり、距離感が非常に重要ですもんね。
今回はお客様の眼の状態を説明させていただいて、「寝た子を起こす」フレーズを気に入っていただき!?起こす事になりました・・・・
(当然起こさない選択肢もあります)
本日お渡しだったのですが(眼鏡の写真撮り忘れ)
お渡しの時「あっこういう事か・・・」と強い違和感
良くも悪くも違和感は今までと違う事を脳が感じて、発生します。
度数が目に合って無いのではなく、今までと違う見え方に違和感が出るのです。
今までは片目片目の見え方を脳が処理していたのを、両目の像を脳が融像して処理するのだから、脳の負担も大きくなります。(一般の方は普通に脳が処理してます)
慣れるのを優先するなら、プリズム入りの近用眼鏡→プリズム入りの遠用眼鏡(常用が必須)→プリズム入りの遠近両用と段階を踏んで慣れてもらうのも一つではあるのですが、覚悟と装用テストの感じを見て一気に行った方が良いと思っての提案でした。
慣れるのに一番脳が頑固な年代ではありますが・・・・
遠近両用を使いこなすには今しかないような気がします!!!
でも、どうしてもダメだったら一回だけは無料でレンズ交換出来ますのでご安心ください(笑)