乱視!?物が3つに見える??
先日ご来店いただいたお客様が、乱視で物が複数見えるとの事
座学で学ぶ基本的な乱視とは、
目を3D(立体的)に考えた時に、縦方向の屈折力と直角する横方向の屈折力が違う事で乱視となっています。
上の図で考えると、(補正後)のレンズが乱視レンズで、形状はラクビーボール状の表面の縦と横が異なるカーブのレンズとなっています。
目の横の屈折が近視で縦の屈折が遠視のミックス乱視で倒乱視
縦と横が反転し、ラクビーボールを寝かした状態だと直乱視
斜め状態なら斜乱視と呼ばれています。
ココは、国家検定の眼鏡作製技能士の問題に出やすい所!!
このような普通の乱視の場合は、物が複数に見える事は無く、乱視の角度の応じて楕円形に見える事が普通です。
物が複数(2つ)に見えている場合は、最初に両眼視異常を考えます。
もうこの図はこのブログでは定番で、画像に名前を付けていてすぐに呼び出す事ができます。
この図は、斜位を現した図で「外斜位」状態です。
ほとんどの動物は、多かれ少なかれ左右の視線が違っていて、脳が筋肉を使って調整しています。その視線の違いが大きすぎて無理が出来ない状態が「斜視」になり、無理じゃないかもしくは無理していても左右の目で見た像が融像している状態が「斜位」と呼ばれています。
左右の像が融像出来ない場合、右の目・左の目が別々に2たつ見える状態が「複視」
人間の脳が2つに見える状態が異常と感じると、1つの像を脳が無視して「抑制」がかかり利き目だけの画像しか見え無くして複視を防ごうと働きます。
今回の事例は、片眼で見ても像が3つに見える事例です。
視力測定(自覚検査)をしていくと、クロスシリンダーを用いた乱視の検査時、僕ぐらいベテランになると違和感を感じる時があります。(クロスシリンダーの記事は過去に書いた気がします)
眼は機械で作っていないので、そんなにきれいなカーブの水晶体や角膜は出来ないのです。
真珠貝の真珠がまん丸いのは、人工で作ったまん丸な核を真珠貝の中に入れるのであんなにまん丸な真珠が出来るのです。
当店には、秘密兵器的な検査機器があります。
角膜の形状をリング状の光を当てて反射した状態を他覚的に測定
その結果が
乱視の軸が3方向へ・・・三菱のマークみたいに・・・・
これが角膜の常態だと、不正乱視や円錐角膜の時に用いるように、角膜の上に硬いハードコンタクトレンズを装着すれば解消するのですが、角膜より内包の状態がそうなので、ハードコンタクトでもあまり解消はしないかも・・・・
3つのお山の高さが高くない、大きい乱視では無いので、視力は十分に出ています。
ただ角膜の中心にあるので、物が3つに見えるような現象があるのでしょうか?
両眼視が原因で2つに見える現象はメガネで矯正できる場合もありますが、今回のように片眼でも複数見える現象はメガネでは解消出来ないかも知れませんが、その中でも一番良く見える度数を一緒に考える事は出来ます。
今回の事例も両眼視機能も、病気では無いと考えていますのでこんな記事を書いていますが・・・
どうなんでしょうか???
ちなみにハードコンタクトを装用した方が、コンタクトの上からかけるメガネをご注文いただいたので、ハードコンタクト装着状態で測定してみました。
(画像は乗せません)
なかなか興味深いデーターがとれました。
[コメントする]聞く力と提案力
最近の累進(遠近)レンズって、設計が色々あって要望にマッチしていると凄く使いやすく、要望にマッチしていないと使いにくいレンズとなっています。
ここで書いている設計とは、遠方度数・近用度数が同じでも、遠方度数や近方度数の面積的割り合いが違う事を書いています。
上の図でのAのレンズは、遠方の割合が広くて近方の割合が少なく、Bのレンズは遠方の割合が少なく近方の割合が多いレンズ。
Cのレンズは、遠方・中間が無いレンズ。
業界では、Aを遠近両用レンズ、Bを中近両用レンズ、Cを近々両用レンズ、Dをアシストレンズと呼んでいます。
更に細かく分かれていて、
中近レンズの中でも、上の図でいうとA・B・Cと分かれていて、通常の目の位置に来る地点の加入度数で、当店では19%加入とか、27%加入みたいな分類で分けています。
前にも使用しましたが、上の表がそのレンズメーカー全体の集荷割合で、
下の表が当店の実績です
業界全体は、通常の遠近両用と呼ばれているレンズの割合が多いのですが、当店では1種類に固まらずにちゃんと使い分けがされているのが読み取れると思います。
正解的な割合は解りませんが・・・・
先日、サックス(バリトンサックスだったかな?)演奏者の方が来店されて、現在使用している中近両用(40%)テレスマホCでは、楽譜が見えにくくなったとの事で、ご来店いただきました。
度数的にも明視域的にも、楽譜の置く距離的・高さ的にも今のメガネ(1年前に購入)で問題が無く、店頭ではちゃんと見えていました・・・・・
照度でもない・・・
本人も店頭では今のメガネで「あれ?見えてるな・・・」と言った後、
サックスを構える姿勢(デッカイサックスは体の斜めに構えるみたい)をしたとたん、
「あれ見えにくい・・・・・」
原因が解りました!!!!!!!
その方がデッカイサックスを演奏する姿勢が顎を引いた状態で、累進レンズのちょい下方目にある楽譜までの距離の度数域より、少し上目に目線があったのです。
一番お金がかからない解決策は、メガネのかける位置を上の方に掛ければいいのだけれど、見られ方も美しくないし、現状のメガネを普段使いされているので現実的ではありません。
それでは、演奏姿勢での視線に来る度数をその距離の度数に調整して、加入度を調整、PD(目の輻輳した幅)を調整すれば良いのですが・・・・
中近両用(一番上の図のB)で調整しなくても、もはやそれは近々両用(一番上の図のC)
この近々両用でも、明視域(どの距離からどの距離まで)を選択して変える事が出来ます。
上の図のスタイル構成比は大きく5パターンに分類されていますが、その5パターンも更に細かく分類する事が出来るのです。
まさにレンズ設計の特性を理解したうえで、ユーザーの使用状況を正しく聞き出して、提案出来る力が試されています。
先日も新規で予約までいただいてご来店いただいたお客様が、検査前に現在の状況等を色々教えてくれるのですが・・・・
(色々ご要望が多いために予約されたのでしょうが)
とりあえず目の度数や調節力・眼位等が解らないと何の説明も出来ないので、ザックリ聞いた時点で「取り合えず先に調べてからじゃないと何も答えられないので」と遮ってしまったのですが(汗)
聞く力が大切と言ってるのは、聞いているだけではだめなんです(笑)
このお客様も納得されていただいたようで、今回ご希望の設計のレンズでのメガネをご注文いただきました。また退店された後再び来店されて、別の設計のメガネをご注文いただきました。
(本当にありがとうございます)
当店では、調節力が弱くなった大人の眼の方には、道具と同じで状況に合わせた複数所持を提案していますが、複数使い分けるのが嫌な場合にも一番最適と思う設計のレンズを予算に合わせて提案しています。
ユーザーの視生活の優先順位を考慮して、色々テストレンズで体験してもらいながら提案していますので、色々踏み込んでお聞きする事もある事をご了承下さい。
一番良いのは、視生活の状況(見たい物の距離や高さ)をメジャー等で測っていただいてから来店いただくと、より正確にご提案が可能です。
メガネの専門店として、日々精進しておりますので、是非かかりつけ眼鏡店としてお任せ下さい。
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