上下プリズム!!
複視(物が二つ見える症状)でお困りのS様
テンプルをセロテープでグルグル巻きにして、斜めにしてかけると調子がいいらしい
この状態のレンズを作りたいと、眼科さんや眼鏡屋さんに言っても理解してもらえなかったそうで・・・
両眼視検査をすると、強い上下内斜視・・・・
「眼鏡を斜めにかける事は、レンズの中心を上下にすることと同じで、プリズムレンズにすればいいのです!!」
と、説明してみても・・・・なかなかご理解いただけず・・・・説明が下手で難しい・・・・
持参の眼鏡の度数を測ると、1.5△Dづつの上下プリズムは入っておりましたが・・・・
そこそこ時間をかけて検査し、そこそこ時間をかけて装用テストをして、まあ行けそうだという事で、レンズをオーダー!
当然、制作範囲外でオーバー手配の別作レンズ!!(通常範囲ならタイの工場になるのにこのレンズは日本工場製)
(上下9△プリズムレンズ×2)
想定外のレンズ厚の為、レンズを削る砥石より分厚い・・・・・
ので、ある程度の厚みは手削りで粗削り!!!
平削りまでは、機械で行けたのですが・・・・
レンズの上面と下面の厚みが違いすぎて、加工機が測定値エラーの表示を出し続けて、どう設定してもこの先に進めません・・・・
しかたがないので、この後は手削りでヤゲンを立てていきます・・・・・
分厚い部分と薄い部分が両極端なレンズだけに、超難題な加工になります・・・・・
白い液をブシュブシュ飛ばしながら(プラレンズの削りこです)慎重に削って出来上がり!!!
縁が厚いセル枠にしたので、厚みがそう目立たない!!!
で、S様にお渡しですが・・・・・・
予想通り、強い違和感が発生!?!?
何年も何十年も、ズレた見え方をしてたのに慣れ、補正してきた脳が、びっくりしている副作用です。
「検査し仮枠で装用した時は大丈夫だったのに、あの時の度数じゃないの?」と聞かれて
「長い時間をかけ、負荷のかかった検査後で、何となく脳も慣れてきた後の装用テストと、いきなりかけるのじゃ、脳の適応も時間がかかるんです」と説明をしてみても、お客様は疑心暗鬼・・・・・
しばらく店内でかけてもらっていても、なかなか違和感が取れません・・・・・
そうしていても仕方がないので、「今、お代金はいいので、1週間使ってみてそれでもダメなら、度数を変えるとか、返品でもいいですよ」と・・・・・・
高価なレンズを苦労して加工した眼鏡が返品となっては辛いですが、慣れてくる自信はあったため不安はありませんでした(でもドキドキ)
1週間後にご来店いただきました!!
で、結果は!!!!!
左目の上方部が分厚いレンズ
右目下方部が分厚いレンズ
追加で、お手元用の眼鏡のレンズをオーダーいただきました!!!!!
グルグル巻きのセロテープも外して、モダン・ハナパットを新しいのに付け替えて、出来上がりです!!!
こちらは、既に脳が慣れているので、すんなりOKをいただきました!!
帰り際に「今後ともよろしくね」と言われたのには、かなり嬉しかった!!!
複視は改善され、眼精疲労からくる首のコリ等もすごく良くなったとの事です。
ただ立体視は微妙なところ・・・・・
先天的に眼位異常(斜視)が多い場合、利き目じゃない方の目が抑制されて、目では見えているのに脳では認識してない場合が多く、複視にはなりません。
抑制がかかっている目にプリズムを入れた為に複視になる場合だってあります・・・・
大概、複視を訴える方は、後天的に何かの原因で物が二つに見えだすのです・・・・
僕の経験からすると、加齢・目の手術・事故・病気の順番でしょうか・・・・・
もう一件
今度は失敗例です。
レンズ袋を見てもらえば解ると思いますが、右目は度なし、左目は-1.5のゆるい近視の不同視で、3.5△づつの外斜位0.5△の上下斜位・・・・・・
問題は、右目の度数・・・・・
片眼遮蔽の右目の視力は1.0以上!!!
じゃ眼鏡要らないのでは・・・・・
ただ、夜の運転が見ずらいのだそう・・・・
これは、大きい外斜位からで、両目で見よう見ようとすればするほど調節が入って視力が低下するのです・・・・
で、お客様に今後どうしていくか目の状態を説明し、眼鏡っ子になってもらう覚悟をしてもらっての上のレンズで制作・・・・
お渡し時は、お決まりの違和感・・・・
しばらく店内でかけててもらって、慣れれるかな・・・・と様子を見てもらう・・・・
数日後、再来店いただき再説明、ポラや赤緑指標を使い、実際必要量(シェアードの基準)より少ない量で入れててて、実際はこんなにあるんだよとの説明し、とりあえずもうしばらく頑張ってみるとの事。
後日再来店時には、やっぱり慣れれなく無理との事・・・・・
裸眼視力も十分にあり、今まで眼鏡を常用したことの無い難しいケース
東京での勉強会で使用してみてなかなか良かった「オクルーション」レンズを用い、
両眼が融像した状態(輻輳調節)での度数測定で、夜の運転時にかける眼鏡の度数を決定。
(合わない慣れない場合、レンズ交換一回は無料で交換できます)
これは当然よく見えるし違和感も無いとの事。
でも長時間かけると疲れる説明・・・・・
最終的にレフだけでパッパと決定した度数に近くなりなんだか敗北感・・・
この方にとって最適な度数はどんな度数か自問自答してしまう・・・・
ちかぢか、近くを見る眼鏡も必要になるはず・・・・・・
斜位等の眼位が微妙な方の眼の測定や、説明って、お客さんの目も超疲れるし時間も掛かるし、気も使うし、本当に難しい・・・・・・
もう一件だけ、ご紹介・・・・・
70歳過ぎの女性のお客様、
現在の眼鏡で遠くが見えにくく、物が二つに見える事がある、との訴え
検査すると、近視の不同視で、上下に5△の上下内斜位・・・・・
現在使っている眼鏡の度数は、近視の弱い目の方(利き目)に遠用度数、近視の強い目の方に近用度数が入っており、左右で遠近両用(モノビジョン)
この眼鏡を販売した眼鏡屋さんも考えてこの度数で制作したか、不同視の違和感を取るためにたまたまの度数か・・・
主訴の「遠くをはっきり見たい一つに見たい」を解決するには、左右の視力を揃えて、上下プリズムを入れれば済む話だが・・・・
その度数を仮枠でかけてもらうと、「わ!遠くがはっきり一つに見える!!!」「けど、眉間がギュッとくる!?」と強い違和感!!
「しかも近くはこの眼鏡じゃ見えません・・・」
車も運転なさらない方だし、今の眼鏡でそこそこ問題ないのなら、むりに両眼視をしないで、現在の度数のままで!!!
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