眼鏡と医療のお話(長文)
先日同業者のZOOM会議での話題になった話の一つに、
2020年04月18日 朝日新聞朝刊 から引用
[◆左右の「見え方」、ずれを調整
視力はいいのに黒板や教科書の文字がぼやける。解答欄に収まるように字が書けない。そんな症状をメガネで改善できる場合がある。右目と左目の「見え方」の組み合わせを調整して作ったメガネが有効だという。
東京都港区にある「ドイツマイスター眼鏡院」では、左右の目で見たものを脳の視覚分野で正しく一つの情報に処理できているかを調べる「両眼視機能検査」をもとに、メガネを作っている。左右の眼球を支える筋肉が正しく連動しているかなどが確認できる。
ドイツで採り入れられている検査で、同店の中西広樹さん(36)は現地でその手法を学んだ。ドイツの「国家公認眼鏡マイスター」も取得している。
中西さんによると、目を片方ずつ調べる一般的な視力検査ではしっかり見えていても、両目での見え方が乱れていれば、「読み書きが困難」「ハサミなどを使った細かな作業が苦手」といった特徴が出るという。
神奈川県の小学6年、ユウトさん(11)は1年前、眼科を受診した上で、同店でメガネを新調した。読み書きが苦手で、特に漢字を正しく書けなかった。
毎晩、母親(41)と一緒に漢字ドリルなどで練習しても、漢字の一部が別の漢字の形だったり、止めやはねができていなかったり。テストの解答欄に収まるように書くのも苦手だった。
母親がネットで両眼視機能検査を知り、昨年5月に中西さんの検査を受けた。もともと弱視と乱視のためメガネを使い、視力は矯正されていた。だが、左右の目で見た映像が頭の中で一つの像を結ばず、左右にずれていることが分かった。
検査をもとに調整したメガネをかけると、文字がかすんで見えることがなくなり、形をしっかりと捉えられるように。改めて眼科を受診し、自分に合ったメガネかどうかも確認してもらった。「これまでのメガネと全然違う」とユウトさん。母親も「字がきれいになって、長文も書けるようになってきた」。病院での発達検査で、文字を音に変換することについても苦手が指摘されているが、「読める、書けるという実感が彼の自信につながっている」と話した。
練馬区の男子児童(7)は、小学校に進学後すぐに「あいうえお」につまずいた。視力は裸眼で両目とも1・2。健康診断や学校で「見え方」を指摘されたことはなかったが、昨年11月に同店で検査すると、やはり左右の見え方がずれていた。視力を矯正する度数は入っていない両眼メガネを作ると、「見えるようになった」。音読も詰まらずにできるようになった。今では眼鏡をしない状態の方が、「見えづらくて気持ち悪い」という。
読み書きや球技が苦手、注意力が散漫といった傾向がある子の中には、視機能(見え方)に対応したメガネを着用することで、負担が軽くなる人もいるという。「自分の見ている世界のゆがみに、本人はなかなか気づけない。子どもの行動が『見え方』に起因しているかもという認識を大人が持ってほしい」
両眼視機能の異常には、病気など様々な原因が考えられ、メガネを作る前に、眼科医に診てもらうことが重要だ。ドイツマイスター眼鏡院では、事前の眼科受診を勧めている。検査後も連携する眼科医と相談の上で、メガネを作成している。
レンズは3万円台で、子ども用のフレームは2万円台から。検査や相談は完全予約制で無料。問い合わせは同店(03・6804・1699)。
(国米あなんだ)]
引用終わり
良い記事に見えるのですが・・・・・
これに対して、眼科系5団体が共同で、
4月18日付の朝日新聞朝刊に掲載されたツール46「両眼視メガネ」の記事について、日本眼科医会を含む、日本眼科学会、日本弱視斜視学会、日本小児眼科学会、日本視能訓練士協会の5団体が、『「両眼視メガネ」という特殊なメガネが存在するかのような誤解を国民に与えかねない記事であること、なかでも斜視や弱視で治療中の子供を持つ保護者においては、現在受けている治療に対して不安に思われたことと思う』との声明文を出し、その中で正しい情報を提供した。
という声明文がホームページを通じて発表されております。
(詳細は各学会のホームページまで)
それを受けて、眼鏡技術者国家資格推進機構としての見解を6月23日付で発表。上記5団体による声明文の内容と意を同じくするとして、「眼鏡を購入しようとしているお客様に斜視、弱視に関係すると思われる症状が疑われた場合には、眼科専門医を紹介するのは当然のこと。また、学童用視力補正メガネの調整に当たっては、眼鏡を調整する前に眼科専門医の診察を勧めるのが眼鏡技術者のとるべ き対応と考える」などとしたプレスリ リースを出した。
新聞の紙面にも「両眼視機能の異常には、病気など様々な原因が考えられ、メガネを作る前に、眼科医に診てもらうことが重要だ。ドイツマイスター眼鏡院では、事前の眼科受診を勧めている。」となっている・・・・
当店でも当然、矯正視力の出にくい方や、急激に度数や眼位が変わった方、若年齢の児童などは眼科を受診してもらっています・・・・
この新聞記事の問題の一つに「医療広告」があるような気がします・・・・
医療機関の広告は、厳しい制限がかけられています。
ズート前にこのブログでも紹介した僕が取った特許も
薬機法(旧薬事法)的には、超NG・・・・・
その時は薬機法の事など 全然知らなくて、特許を取得してから色々勉強して、医療分野のハードルの高さを知りました。
いろいろ学んでからは、極力注意して、ブログや店頭でも発信・発言しているのですが、まあ難しい・・・・
どういう表現がOKで、どういう表現がアウトか・・・・
この記事の「両眼視メガネ」の表現がアウトのように書かれてますが・・・・
というよりも、医療広告的な表現がアウトなんだろうな・・・
法的には、医療機関のこの記事だったらアウトで、眼鏡店の記事だったらセーフ??
まあ、眼科等医療機関が広告的な発信が法律で制限されているのに、眼鏡店が無法的に発信していたら、そりゃ眼科学会系は気分良くないですよね・・・
眼鏡屋さんのホームページやブログSNS系での発信で、結構NGな表現も散見しますが、本当に気を付けましょうね!!!!
ちょっと話変わって、眼鏡店の資格のお話
現在日本国では、メガネ店を営業するにあたって、国家資格は必要なく誰でも出来る・・・
世界各国を見ると、資格が無いと営業出来ない業務独占の国家資格が多いのでしょうか。
↑眼鏡技術者国家資格推進機構のホームページから引用
国家資格によって明確に業務内容が規制されていたり、出来ることも多くなっていたりします。
日本の眼鏡士では、「名称独占」・「業務独占」の議論はかなり前からありますが、前に進まずグレーゾーンの中で営業しているのが今の日本の眼鏡店
まさに、日本らしいあいまいの感覚・・・・
眼鏡士の国家資格化は、国家資格にした方が(上記の例)でも規制・指導が厳しく出来る点では良いのではないでしょうか。
国民の利益を本当に考えて議論してほしい問題ですね。
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