聞く力と提案力
最近の累進(遠近)レンズって、設計が色々あって要望にマッチしていると凄く使いやすく、要望にマッチしていないと使いにくいレンズとなっています。
ここで書いている設計とは、遠方度数・近用度数が同じでも、遠方度数や近方度数の面積的割り合いが違う事を書いています。
上の図でのAのレンズは、遠方の割合が広くて近方の割合が少なく、Bのレンズは遠方の割合が少なく近方の割合が多いレンズ。
Cのレンズは、遠方・中間が無いレンズ。
業界では、Aを遠近両用レンズ、Bを中近両用レンズ、Cを近々両用レンズ、Dをアシストレンズと呼んでいます。
更に細かく分かれていて、
中近レンズの中でも、上の図でいうとA・B・Cと分かれていて、通常の目の位置に来る地点の加入度数で、当店では19%加入とか、27%加入みたいな分類で分けています。
前にも使用しましたが、上の表がそのレンズメーカー全体の集荷割合で、
下の表が当店の実績です
業界全体は、通常の遠近両用と呼ばれているレンズの割合が多いのですが、当店では1種類に固まらずにちゃんと使い分けがされているのが読み取れると思います。
正解的な割合は解りませんが・・・・
先日、サックス(バリトンサックスだったかな?)演奏者の方が来店されて、現在使用している中近両用(40%)テレスマホCでは、楽譜が見えにくくなったとの事で、ご来店いただきました。
度数的にも明視域的にも、楽譜の置く距離的・高さ的にも今のメガネ(1年前に購入)で問題が無く、店頭ではちゃんと見えていました・・・・・
照度でもない・・・
本人も店頭では今のメガネで「あれ?見えてるな・・・」と言った後、
サックスを構える姿勢(デッカイサックスは体の斜めに構えるみたい)をしたとたん、
「あれ見えにくい・・・・・」
原因が解りました!!!!!!!
その方がデッカイサックスを演奏する姿勢が顎を引いた状態で、累進レンズのちょい下方目にある楽譜までの距離の度数域より、少し上目に目線があったのです。
一番お金がかからない解決策は、メガネのかける位置を上の方に掛ければいいのだけれど、見られ方も美しくないし、現状のメガネを普段使いされているので現実的ではありません。
それでは、演奏姿勢での視線に来る度数をその距離の度数に調整して、加入度を調整、PD(目の輻輳した幅)を調整すれば良いのですが・・・・
中近両用(一番上の図のB)で調整しなくても、もはやそれは近々両用(一番上の図のC)
この近々両用でも、明視域(どの距離からどの距離まで)を選択して変える事が出来ます。
上の図のスタイル構成比は大きく5パターンに分類されていますが、その5パターンも更に細かく分類する事が出来るのです。
まさにレンズ設計の特性を理解したうえで、ユーザーの使用状況を正しく聞き出して、提案出来る力が試されています。
先日も新規で予約までいただいてご来店いただいたお客様が、検査前に現在の状況等を色々教えてくれるのですが・・・・
(色々ご要望が多いために予約されたのでしょうが)
とりあえず目の度数や調節力・眼位等が解らないと何の説明も出来ないので、ザックリ聞いた時点で「取り合えず先に調べてからじゃないと何も答えられないので」と遮ってしまったのですが(汗)
聞く力が大切と言ってるのは、聞いているだけではだめなんです(笑)
このお客様も納得されていただいたようで、今回ご希望の設計のレンズでのメガネをご注文いただきました。また退店された後再び来店されて、別の設計のメガネをご注文いただきました。
(本当にありがとうございます)
当店では、調節力が弱くなった大人の眼の方には、道具と同じで状況に合わせた複数所持を提案していますが、複数使い分けるのが嫌な場合にも一番最適と思う設計のレンズを予算に合わせて提案しています。
ユーザーの視生活の優先順位を考慮して、色々テストレンズで体験してもらいながら提案していますので、色々踏み込んでお聞きする事もある事をご了承下さい。
一番良いのは、視生活の状況(見たい物の距離や高さ)をメジャー等で測っていただいてから来店いただくと、より正確にご提案が可能です。
メガネの専門店として、日々精進しておりますので、是非かかりつけ眼鏡店としてお任せ下さい。
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