ヨークトプリズム
以前、県外在住の学生さんが当店でメガネを購入される時に、今使用中の眼鏡(他店購入)に左右共にベースダウンプリズム(同方向)が入っていた事がありました。
通常両眼視を考えた上で入れるプリズムは左右逆方向のプリズムを入れます。
(左右プリズムの場合は鼻側をベースイン耳側をベースアウトとなり、両眼ベースーインでもプリズム方向は左右逆方向になります)
当店では行うことの無い左右共ベースダウン処方に、何か意図があるのか解らないため、懇意にしていた眼鏡学校の先生に質問をしたことがありました。
引用
同じ方向にプリズムを入れることを「ヨークトプリズム」と呼びます。
目的&使用例
①同名半盲(右側or左側どちらか半分の視野欠損)での視野補填に使われます。欠けている方向にベースを入れます。
②眼球運動がある方向のみ苦手なケース。例えば前回の丸山さん(質問)の例ですと。左右ともベースダウンが入っている人だと下方視が苦手でそちらの視野を補う目的で入れます。
③偏った空間視
床がどうしてもせり上がって空間知覚するなら左右ともベースダウンを入れます。
④眼振が視線方向で不安定なとき、安定する視線方向と同じになるよう。プリズムを入れます。
キクチ眼鏡学校 吉原先生との2016年のメールより引用
ネットでヨークトプリズムと検索しても何も引っかかりませんが、英語で検索すると海外のサイトが引っかかります。(以前FBで同業者さんが検索してくれました内容は英語で解りませんが画像で何となく解る)
前置きが長くなりましたが、今回の事例は、黄斑膜を患って左右眼ともに中心部分の視野が欠損していて、ちょっとでも良いので眼鏡で見えるようにならないかとの事。
既に眼科にかかっていて治療中で、当然当店では病気の事は解りません。
が、メガネを作る事は出来ます。
視野欠損と言う事で、上記のヨークトプリズムの事を思い出しテストレンズで試してみました。
上下左右4パターンで、同じ方向に中くらいの量のプリズムを入れてみる。
「何となく上方向と右方向が良い」
次に右斜め上を試してもらうとそれが一番いい感じがする。
次にプリズム量を増減してみました。
一番よさそうなプリズム量にして、自分で回して左右のプリズム方向のベスト地点を探してもらいました。
この方法があっているかどうかは解りません・・・・
最後にプリズムが有った方が本当に良いのかを、ある場合と無い場合を比較確認してもらって、出来上がった眼鏡です。
普通当店で斜め方向のプリズムを入れる場合は、外側に何プリズム、上側に何プリズムと表記します。(縦と横を別々に測る為)直角三角形の底辺と高さですよね!!直角三角形の斜めの角度が方向で斜めの長さがプリズム量です。
三角関数が出来ないと眼鏡屋にはなれません(笑)
サイン・コサイン・タンジェントだったかな・・・・
写真のレンズ袋のP8.00 P軸145 の所ですね!!
これから底辺と高さを割り出さないといけません!!!!
が、最近のメガネ屋さんのデジタル機器は進歩していて、
座標入力しておけば、普通に印点を打つだけなんです。
(完全に同業者向けブログになってますね笑)
また、眩しさも感じていて、コントラストも上げたい事から「東海光学さん」の遮光レンズ(CCP)を使用しました。
約30色の色から、本人に一番最適なカラーを体感いただきながら決めるレンズですね。
この遮光レンズは、視覚障害の手帳を有していて条件に合えば、公的な補助を受けれることもあります。
このほぼ同じ方向に入れたプリズムがどのくらい有効かは本人しか解りませんが、後付けですが僕なりに考えると、
見たい方向に視線を向けると、中心の視野が欠損しているので見たい方向と違う方向を見て周辺視野で見ている。
あえて固視ズレをおこして周辺視野で見る(固視ズレの表現が適当かどうかは解らない)
見たい方向の、1m先で8㎝(10m先で80㎝)斜め下を見ている(下方視)する事により眼位が安定する。
今回のブログの内容は、一般の方には難しいと思いますが、書く事でアウトプットになって、一番僕が役に立ってます!!!
(こういう内容は読むのは短時間ですが、書くのは相当時間がかかります)
(最後まで読んでいる人ははたしているのか)
両目ともに外側半分が欠損して視野が狭い、両耳側半盲ですが、それに対応できるメガネを作ることは出来ないでしょうか
左右の矯正度数や眼位等等調べて色々試してみないと何とも言えません・・・