技術的お話
乱視とは・・・
座学で学ぶ乱視とは、

眼球の縦と横の屈折力が違う場合・・・
よく例えられるのが、バレーボールとラグビーボールの違いと
上の図のように、補正前は縦のラインは網膜の後ろに焦点があって、横のラインが網膜の前に焦点が合っています。
この目は、ミックス(混合)乱視の直乱視となりますね(試験に出るところ)
眼鏡店や眼鏡学校で学ぶ場合一番最初の方に学ぶ内容なんですが・・・・
天然(自然)に出来る人体に、こんなに奇麗なレンズが出来る方が奇跡!
生命を作った創造主(進化)は、奇跡のような人体を作り上げましたが、全員が完璧ではありません・・・
今回の事例は、そう単純ではない天然な事例・・・
あくまで病気ではありません、持って生まれた特徴です。
当店では、自覚検査を進めている時に違和感がある場合には、眼球の形状を確認できる装置があります!OPDスキャンという機械で、同心円上の光を角膜に当てて角膜の形状をスキャン測定する機械です。

一見、強度近視の直乱視に見えますが・・・・
左右の度数は、ほぼ同じなのですが、上下の度数(屈折力)が違うのがお判りでしょうか・・・

上下の屈折力が上方は強く、下方はそう強くない・・・
いわゆる、遠近両用レンズのような状態なんですね。
眼から12㎜離れたメガネレンズなら、遠近両用みたいに使えるかも知れませんが、眼球自体のレンズで、視力が最も出る網膜上の中心窩は直径1㎜も無いぐらい・・・
レフがはじき出す数値は、屈折力が強い部分と弱い部分の中央値を表示するので乱視の度数は強く出てしまいますが。そこまで乱視を強くしなくても十分な視力は出ます!!
機械のみがはじき出す他覚値だけを信じてしまうと、快適な度数は出せません!
自覚的に一番視力が出る度数を、丁寧に探し出します。
このお客様、当店は初めてのご来店で過去のカルテのデータがありません・・・
当店で購入いただいた顧客様は、30年以上前から電子データで大切に保存しています。
出来ましたら初めてご来店いただくお客様は、現在使用中のメガネや使用中のコンタクトレンズの度数(使い捨てコンタクトはパッケージに刻印あり)を持って来ていただけると多角的に判断が出来ます。
こういう眼の自覚検査は、経験と実績と引き出しが重要になって、なかなか後輩に教える事が容易ではありませんね・・・・
こういう乱視の事を不正乱視と呼んでいるのですが、角膜が原因の場合は、ハードコンタクトレンズで矯正するのが一般的ですが、今回は角膜以外と考えられて(この機械が無いと解らない)
最新の機械と、人間の経験で最適な度数を探し出します!!
この機械には、見え方的なシュミレーションも出来て・・・

一般的なのは

光が真ん中に集中するのです。(大きさの比率が違ってます)
当店では、お金に換算出来ない「度数検査」「レンズ加工」「メガネフィッテング」にこだわってメガネを販売させていただいています。
視力が出るだけのメガネならどこにでも売ってるかも知れませんが・・・・
快適に見える掛けれる魅せるメガネは、どこにでも売っていないかもしれませんね!!
でもご安心下さい!ほとんどの方はそこまで求めてはいません(うまく表現できない)
当店では、ミシュランガイドでいう3星を取れるようなメガネ店を目指しています!!
[コメントする]国家検定「眼鏡作製技能士」1級 ゴールド
国家資格(名称独占)になった、眼鏡制作技能士
当店には現在3名の1級保持者がいるのですが、
そのうち2名が、ゴールドバッチをいただきました!

国家資格の技能士としては、一回試験をパスすれば一生資格持ちなんですが・・・・
このゴールド認定はある程度教育を受けないと継続出来ないシステム・・・・
(言い換えれば会費を払い続けないと維持できないシステムなんですね)
当店でもあと2名今年の1級試験を受ける予定で、受かれば5名の1級資格者が所属の予定なんですが・・・・・
会費を払い続ければそのサイトに店名と顔写真が掲載されるのです・・・・
逆に、眼鏡作製技能士資格保持者でも会費を払わないと専用サイトに店名も名前も掲載されないのです。
まあ維持経費が掛かるしうちの業界だけでもなく、ほとんどの業界がそうなんですが・・・
今のまま役員2名だけ会費を払うべきか、5名(今年受かれば)とも会費を払うべきか・・・・
ゴールドバッチの自慢の記事を書こうと思ったのに(笑)
[コメントする]ハードコンタクトレンズを数十年お使い
視力矯正を目的にしている、補正器具はメガネとコンタクトレンズになりますが、コンタクトレンズを使用している方には「コンタクトレンズを主に使用してますか」と眼鏡店では尋ねられると思います。
次に、コンタクトレンズを利用している方には「使い捨てコンタクトレンズですか?」と聞かれると思います。
一昔前なら「ハードコンタクトレンズですか?ソフトコンタクトレンズですか?」だったかな・・・
グーグルAI先生によると、ソフト(使い捨て含む)が8割以上らしいですが、体感ではソフト(使い捨て)の割合がもうちょっと多い気がしますね
眼鏡店が特に注意を払っているのが、ハードコンタクトレンズの装用者です。
ハードコンタクトレンズは文字通りハード(硬い)で角膜よりも硬いため、長時間装用していると角膜の表面の形状がハードコンタクトレンズと同じ形状に一時的に矯正されてしまうのです。
それでそれなりの知識のある眼鏡店は、コンタクトレンズを外してからそれなりの時間が経った状態(本来の角膜)で測定したいのです。
今回の事例は、電話で「ハードコンタクトしか無く、コンタクトをしないと運転出来ないのでハードコンタクトを装着して伺っても良いですか」と新規のお客様。
「ハードコンタクト装着の場合は、上に書いた事があるので、外した後しばらく時間をおいてから再測定するので、時間の余裕をもってご来店ください」とご了承いただきました。
当店のは、角膜の常態を測定出来る機器があるので、ビフォーアフターを検証出来ると思い外した直後の状態が、

ハードコンタクト装着者に多い強度近視ですね・・・
角膜にゆるい乱視がでてますね(ハードコンタクトを長く装用しているとこの角膜乱視が矯正されやすい)
で色々時間をかけて測定しながらお話を聞くと、電話で聞いていたので運転する直前にコンタクトを入れて来店したので、装着時間は短時間で変化が確認出来なかったのでアフターの角膜形状の検査はしませんでした。
問題は、コンタクトというよりも遠方に複視(物が二つ見える)をうったえている事で、まあまあの内斜位が・・・・・・
医療系ともとられかねない内容になりそうなんで割愛しますが・・・・・
どこで相談してもスルーされた症状だったらしく、当店ではそれなりにケア出来ますのでご相談下さい。
(あくまで、眼鏡店として出来る事だけの内容なので、眼病等の相談は出来かねますのでそちらは医師である眼科でお願いします)
もっと深い内容を想定してたのに(笑)割愛しすぎたかな・・・
[コメントする]お勉強(講習)会
メガネの小売の販売スキル(検眼・レンズ加工・フィッテング・座学)の認定は「認定眼鏡士」のSSS級SS級S級となっていましたが、日本国家が検定試験を行う(認める)形「眼鏡作製技能士」1級2級に変化いたしました。
旧「認定眼鏡士」の資格認定は一般社団法人として、3年間で3回以上生涯教育を受講しないと「認定眼鏡士」の認定が外されてしまったのですが、国家検定の技能士は、検定試験に合格さえすれば、講習等で勉強しなくても一生資格を名乗れます。
運転免許は3年~5年に一回更新(講習)がありますが、技能試験は一回試験に通りさえすればいいのです。
(医師免許も一度国家試験に合格すれば一生涯有効なんですね)
メガネ業界待望の国家資格化を実現したのですが、業務独占資格どころか、技能士に落ち着いたのは個人的には・・・・・どうなのと思うところではあります。
(現在当店には3名の1級合格者が在籍しています)
先にも書きましたが、技能士は一回試験に合格すれば勉強しなくても生涯名乗れるのですが、メガネ協会に入会(有料)して、リカレント教育をリモートで受ければ、協会の中でのランク(シルバー・ゴールド)が上がっていく事になっています。
(眼鏡作製技能士のうち何%ぐらいが有料会員になっているか知りたいところ)
(本日僕の分はクレジットカードで来季分お支払いしました)
長々と前振りを書きましたが・・・・
先日講習を受けさせていただいたのが「視能訓練士」の生涯教育

視能訓練士(ORT)とは、眼科医師の元、訓練や検査の補助を行う専門技師さん
今回の内容は、未就学児童の斜視手術前後(主に前)のトレーニングのお話
(視能訓練士は生涯教育制度があるのね)
大きい斜視があると、両眼で同時に一つに見る事が出来ない為、非利目の方が抑制がかかる事が多いのです。抑制とは、右眼と左目が別々(二つ)に見えていると、脳が異常と感じて非利目の方をシャットダウンして二つに見えないように自律神経で抑制してしまいます。
その抑制を外す訓練(練習)の話が主な内容でした。
ま、眼鏡店にこのような児童がくることは無い(来ても眼科さんを紹介)のですが、凄く参考になる内容で勉強になりました。
最後の質問の時間があったので、爪痕を残すべく(笑)眼鏡店から参加させてもらっている事を名乗ってから質問すると!!
一斉に皆さんが振り向いて(ちょっとだけ遅れたので一番後ろの席)ちょっとビクつきながら
「抑制を外して複視になると、生活に支障が出ませんか?」
まあ手術前にする訓練だから、一旦複視にして両眼視に持っていくための訓練なので、プリズムメガネ等で等々メガネ屋っぽい質問(笑)
逆に遠近両用のプリズム度数の制作範囲や遠近両用のプリズムレンズ度数の測り方等質問を受けたりして(笑)
(プリズム制作範囲は制作範囲外でも度数等によってはオーバー手配で可能な度数もある)
(遠近両用のプリズム度数測定は、隠しマークにシールを貼って測定)
と、メガネ店でもプリズムに慣れていない方は答えられない内容を即答できて爪痕を残せたかな(笑)
メガネ店に来店されプリズム度数が必要な方は、成長が終わる加齢による眼筋力の低下で、基本的に小学生低学年までに両眼視が出来ていた方が対象になるので、眼科(視能訓練士)さんの役割は大変重要です!!!
例外で先日、両眼同時視(複視)が出来ない斜視の方がご来店いただきました。
斜視の自覚がある方は、右眼で見る・左目で見る事が意識的に出来る方が多く、プリズムレンズで左右の視角度を近くにしてしまうと、複視になって逆効果な場合が多いのです。
(左右の視角度が大きく違うと抑制が入る事が多い)
ただこの方は、抑制が入ったままですが、意識して右目・左目で見た場合の視角度が近い方が楽だという事で、プリズムレンズを希望されました。
日々、お客様の眼で勉強させていただいております。
(経験値もちゃんとした知識の元に成り立つので、まだまだしっかり学ばないといけません)
ややこしい眼の方も、普通の眼の方もしっかり度数を決めさせていただいていますので、ご安心してご来店下さい!!!!
(商売的には普通の眼の方だけを対象にした方が良いのでしょうか(笑))
[コメントする]乱視!?物が3つに見える??
先日ご来店いただいたお客様が、乱視で物が複数見えるとの事
座学で学ぶ基本的な乱視とは、

目を3D(立体的)に考えた時に、縦方向の屈折力と直角する横方向の屈折力が違う事で乱視となっています。
上の図で考えると、(補正後)のレンズが乱視レンズで、形状はラクビーボール状の表面の縦と横が異なるカーブのレンズとなっています。
目の横の屈折が近視で縦の屈折が遠視のミックス乱視で倒乱視
縦と横が反転し、ラクビーボールを寝かした状態だと直乱視
斜め状態なら斜乱視と呼ばれています。
ココは、国家検定の眼鏡作製技能士の問題に出やすい所!!
このような普通の乱視の場合は、物が複数に見える事は無く、乱視の角度の応じて楕円形に見える事が普通です。
物が複数(2つ)に見えている場合は、最初に両眼視異常を考えます。

もうこの図はこのブログでは定番で、画像に名前を付けていてすぐに呼び出す事ができます。
この図は、斜位を現した図で「外斜位」状態です。
ほとんどの動物は、多かれ少なかれ左右の視線が違っていて、脳が筋肉を使って調整しています。その視線の違いが大きすぎて無理が出来ない状態が「斜視」になり、無理じゃないかもしくは無理していても左右の目で見た像が融像している状態が「斜位」と呼ばれています。
左右の像が融像出来ない場合、右の目・左の目が別々に2たつ見える状態が「複視」
人間の脳が2つに見える状態が異常と感じると、1つの像を脳が無視して「抑制」がかかり利き目だけの画像しか見え無くして複視を防ごうと働きます。
今回の事例は、片眼で見ても像が3つに見える事例です。
視力測定(自覚検査)をしていくと、クロスシリンダーを用いた乱視の検査時、僕ぐらいベテランになると違和感を感じる時があります。(クロスシリンダーの記事は過去に書いた気がします)
眼は機械で作っていないので、そんなにきれいなカーブの水晶体や角膜は出来ないのです。
真珠貝の真珠がまん丸いのは、人工で作ったまん丸な核を真珠貝の中に入れるのであんなにまん丸な真珠が出来るのです。
当店には、秘密兵器的な検査機器があります。
角膜の形状をリング状の光を当てて反射した状態を他覚的に測定
その結果が

乱視の軸が3方向へ・・・三菱のマークみたいに・・・・
これが角膜の常態だと、不正乱視や円錐角膜の時に用いるように、角膜の上に硬いハードコンタクトレンズを装着すれば解消するのですが、角膜より内包の状態がそうなので、ハードコンタクトでもあまり解消はしないかも・・・・
3つのお山の高さが高くない、大きい乱視では無いので、視力は十分に出ています。
ただ角膜の中心にあるので、物が3つに見えるような現象があるのでしょうか?
両眼視が原因で2つに見える現象はメガネで矯正できる場合もありますが、今回のように片眼でも複数見える現象はメガネでは解消出来ないかも知れませんが、その中でも一番良く見える度数を一緒に考える事は出来ます。
今回の事例も両眼視機能も、病気では無いと考えていますのでこんな記事を書いていますが・・・
どうなんでしょうか???
ちなみにハードコンタクトを装用した方が、コンタクトの上からかけるメガネをご注文いただいたので、ハードコンタクト装着状態で測定してみました。
(画像は乗せません)
なかなか興味深いデーターがとれました。
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