技術的お話
「夜!見にくい」目
「夜間の車の運転が見にくい」とお客様がたまたま同じ日に来店いただきました。
普通、夜の運転は誰でも見にくく感じるのでタマタマでは無いのかも知れませんが、お二人共に普通に見えにくいだけではありませんでした。
当店ではこの度「夜間視力の見にくい原因も他覚的に探れる」機器を導入いたしました!!!
OPD-ScanⅢ(角膜形状/屈折力解析装置)
本来は眼内レンズの度数を選定するために使える装置ですが、メガネの度数を決める為にも大いに役に立ちます!!
(読み取れる情報が多すぎて、まだまだ勉強中ですが)
(いろんな眼のデーターを集めて検証しないといけません)
(機械を開発した方もデータ分析しきれていない感じ)
当店のレフケラは、中央地点とラージエリアの測定が出来るのです。
その数値が↓(For day)と(For night)
確かに近視が1段階(-0.25D)強くなっています(右目)が、そう気にしなくても良い誤差に見えます・・・・(乱視の度数は変わっていないが乱視の角度が変化しています)
ただ、自覚検査#7がレフ値よりも2段階(0.5D)ゆるくても視力が1.2出てますね!
(当店スタッフは近視の過矯正にならないように、必ず雲霧をかけた状態から測定するように教育しています)
OPDスキャンのデータから読み解くと・・・
中央値-S-4.25C-0.5AX77
3.00地点S-5.00C-0.25AX53
5.00地点S-6.00C-0.25AX45
と、中央値から5㎜地点まで約-1.75D(7段階)の違いがある事が分かります。
これは夜間暗くなって瞳孔が広がると途端に見えにくくなることが想像できますね!!
当社のスタッフが、「眼の中心で見ているから瞳孔が広がろうが中心の度数が同じなら視力が変わらないのでは?」の質問がありましたが、レンズってそうでは無いのです・・・
上手く説明出来ませんが、レンズ全体を使って光を集めるので中心だけの屈折にはならないのです。
カメラをしている人なら判ると思いますが、絞りを絞るとピントが合いやすくなる原理(たぶん説明が違うが)そのピンホール効果でフイルム自体をカメラにしたのが、大ヒット商品「写ルンです」です!!!「写ルンです」も携帯電話(デジタル化)と共に忘れられていくのでしょうか
話が逸れましたが、この方の眼は間違いなく夜間見えにくいレベルは普通では無いのです。
もう一方の方同日(10月26日)ですね
この方はプロの職業ドライバーさん
中央値はレフケラと同じような感じですが、3.0㎜付近は近視が-0.5D(2段階)増えて5.0㎜付近は乱視がかなり増えますが、等価球面値(全体の度数)はそう変わっていません。
当店の検査室は半暗室にする事が出来るうえ、明るさを落とした視力表にする事も出来ます。
夜間運転の状況にして瞳孔を開いた状態での自覚検査も実施しています!!
※レフケラでは検出出来ない乱視を半暗室で測定するとしっかり確認する事が出来ます。
レフケラの乱視の角度は70度(倒)、レフケラの角膜乱視の軸度は3度(直)、OPDでの乱視(5㎜地点)は軸度は92度(倒)・・・・・
※では問題です、暗室での自覚検査での乱視の角度は何度(倒乱視?・直乱視?)になったでしょうか?
このOPDスキャンを通して改めて感じた事は、レフケラで出る角膜乱視の数値は、今まで想像していた単純な乱視の状態の数値では無い事に気づかされました。
OPDスキャンを導入して様々な方の眼のデーターを取らさせていただいて分析しているのですが・・・人体の不思議簡単ではないですね・・・
典型的な角膜乱視C-4.0Dの方の貴重なデータが取れたのです!!
右下の年輪みたいな等高線を機械が読み取った数値を考慮して度数を算出しているのですが・・・
前にこのブログで書いた超アナログな指標で、目視で感じる事はやはり不可能としか思えない(笑)
誰だこのウチワを商品化したのは(笑)
大分前に買ってしまったじゃないか・・・
この眼鏡技術者にしかわからない内容ですが、誰かの役に立つといいなあ・・・
と思うよりも、書く事によってムチャクチャ俺にとってアウトプットになる!!!
[コメントする]論文!? 網膜に調整機能!
実際論文を書いたことが無いので、勝手なイメージでいつものこのブログの様に書いてみる。
日頃お客様の度数を測っていると、調節(ラグ)(リード)をルーティーンで全員の方に測っていると、白内障術後(人口水晶体)の方も調節ラグ&リードが出る事がある。
調節力の無い人口水晶体(眼内レンズ)なら、完全矯正後の眼にプラスレンズをかけた場合の焦点距離は、+2.5Dの場合は40㎝、+3.0Dの場合は33㎝になるはずで、ラグ&リードは生じないはず。
調節ラグと調節リード
(眼鏡光学出版 眼鏡学ハンドブック)
同、眼鏡学ハンドブックによると、
近視進行中に眼内で何が変化するか?
で、近視が進行するのは、水晶体の屈折によるものか、眼軸長によるものかの議論が40年前からあって、眼軸長の長さが測れるようになった現代では、眼軸長が長くなる事で大部分が説明出来るようになっています。
(約40年前眼鏡学校では、仮性近視が近視になると習った記憶があるぞ・・・(水晶体説))
(ところで当時皆が言っていた仮性近視ってなに?死語?)
眼軸長が長くなる現象は、近方視が多い現代において、水晶体の調節だけではピントが合わしきれない為に、眼軸が伸びてピントを合わせるようになる現象
そこで、本題!!
「眼軸が伸びるのなら、水晶体では無く、網膜にも調整機能があるのではないか?」
と仮説を立ててみた!
角膜の屈折力は約 40D,水晶体の屈折力は約 20D で眼軸長は約24㎜
計算すると、眼軸長が1㎜長くなるだけで4Dの変化がおこる。
(過去に勉強会で計算しました)
メガネの度数で1段階の0.25Dは0.06㎜変化しただけで変わるのである。
たった0.1㎜でメガネの度数でいうと約2段階変わるのです。
そこで人口水晶体眼と天然水晶体眼を両方もつ被験者が近くに居るので実験してみました!!
(昨年8月に網膜剥離の為左眼だけ人口水晶体に当店の店長がしています)
まず被験者に近方33㎝が一番焦点が合う度数が(完全矯正値を右+1.0D左+0.25D)
右(健康眼55歳)+3.25Dで一番見やすい距離33㎝(0.75D調節)
左(人口水晶体眼)+3.00Dで一番見やすい距離33㎝(0.0D調節)
近づけてボヤケ出す距離
右+3.25D で27㎝(1.5D調節)
左+3.00D で27cm(1.0D調節)
離してボヤケ出す距離
右+3.25D で40㎝(0.0D調節)
左+3.00D で37㎝(-0.17D調節)
調節幅
右眼 0~+1.5D
左眼 -0.17~+1.0D
この数値だけ見ると、人工水晶体眼でも調節幅がある様に見える・・・
クロスシリンダーと十字視標を用いた調節反応を見ると、
40㎝で
右眼は、+1.75D
左眼は、+2.5D
と期待値通りの数値・・・・
当店には、他覚的に調節を測れる機器があるので試して見ると
なんと!調節幅は無水晶体眼の方が、水晶体眼の倍ある!!!!
(0.1Dと0.2Dなんで、誤差の範囲ですが・・・)
ま、どっちも調節力が弱すぎて(笑)
ただ微動のグラフが、無水晶体眼の方が頑張り用が無いためか一定・・・・
更に当店で新規導入した、他覚測定装置!!
OPDスキャンⅢ!!
(まあまあの車が買える価格です)
もしかして、角膜の状態がタマタマ遠近両用コンタクトの様に度数が2種類出ている??
(そんな事は自然にはあり得ませんが)
ま、高次収差もそう無く凄く良い状態です!!
最後に、自覚での強制調節をフリッパーで試してみました!
もう健康な右眼の調節力も少ないので±1.0のフリッパーは無理なので(汗)
±0.25と±0.5で試したのですが、右眼は±0.5までは頑張れたのですが、無水晶体眼の左眼は、マイナスレンズは全然だめで、0と+0.5までは頑張れる!!!
以上の事を踏まえて・・・・
検体は1例だけですが・・・・
なんとなく見えてきました!!!!
【網膜は、前位置にはずらせませんが、後ろ位置には、ほんの僅かにズラス事が出来るのではないか!?
それで年数をかけて眼軸がだんだん長くなる!!!(特に成長期)】
あくまで仮説ですが・・・・
まんざらでは無いような気もする!!!
若年で無水晶体眼の検体があれば激しく求みます。
(外傷性・アトピー性・白内障等、眼内レンズの手術歴がある方)
この、引用した眼鏡光学出版㈱ 発行 「眼鏡学ハンドブック」
難しい事が色々書いています。メガネ屋をしていて知りたいことがだいたい書いてあるので、かなりお勧めです!!
[コメントする]半商・半医(と呼ばれていた時代)
僕の上の世代(60代以降)のメガネ屋さんは、半分商売・半分医療などと呼ばれた時代がありました。
一部の眼鏡屋さんは白衣を着て商売しているお店もありましたね・・・・
(現在ならうさん臭く見えるだけですね)
当然、医療を行えるのは、医師免許を持っている医師だけですので、半分医などとは間違っても言ってはいけないのです。
今年、国家資格化された「眼鏡作製技能士」もそこの部分をことさら厳しく言っています。
(眼鏡作製技能士の試験問題では、屈折異常(近視・遠視・乱視)も病気と考えられていて、調節異常(老眼)は病気では無いとのガイドライン)
個人的見解ですが、屈折異常が病気なら、近視や乱視を矯正するレンズには、一部の外国みたいに、健康保険が適応しないといけないと思うのですが・・・・
この前置きを書いたうえで、先日お店であった出来事
約二年前に初めて当店でご購入いただいたS様
脳卒中後の複視(物が2つ見える)
二年前にもブログネタにしていました。
(その後一年前にもメガネを新調いただいています)
今回は大分リハビリを頑張ったのでしょうか、自身の足で歩いて来店いただきました。
(複視が続いていたら歩く事も・・・)
二年前の度数と、一年前の度数はそれなりに違ったのですが、
(斜位系の遠視系の乱視系の度数は、メガネを常用しだす前としだす後では、潜伏している度数が表に出てきて、それなりに変化する事が多々あります)
(前回このブログに書いた通り慣れるために、あえて変化を少なくする場合もあります)
今回は、1年前とそう自覚値の変化は無かったのです。
(他覚値は、それなりに変化していました)
あらためてS様に「今回はメガネを作りに来店されたのですか?」
と尋ねると・・・・
S様のご主人が「実は片目だけ何か見えにくいと言い出したので・・・」との事
「この場合は、当店よりも先に行くのは病院です・・・」
って伝えると、
「迷ったのですが、とりあえず当店にくれば何か解ると思って・・・」
当店にとっては、信頼が得ていてありがたい事なのでしょうが・・・・
当店はメガネ屋さんで、診察は出来ませんし、当然眼病等は解りません(汗)
「まずは眼科受診してみてから脳外科でしょうか・・・」
って伝えて病院受診を勧めてみました。
このブログを書きながら、眼科受診をするのなら過去のメガネのデーターが有ったら参考になると思い、お客様に連絡したところ・・・
「手術した脳外科を受診したが問題は無かったので、次は眼科を受診する」との事
♡ 初めての紹介状 ♡
それならば、↑で書いたテンプレを基にデータを記したのを
ちょっとだけ遠方から来てもらっているので、ご自宅に郵送させていたしました。
当社は営利を目的として経営を行っている営利企業ですが、顧客様の信頼があってこそのお店です。
どっかの眼鏡店でメガネの購入を考えているのなら、当店もその候補に加えていただけたら幸いです!
できたら当店での購入をお願いします(笑)
以上ステルスではない広告でした!!
[コメントする]遠視と外斜位(広告です)
人間の屈折異常には、主に3タイプあります。
(ニデックさんの機器から引用)
①近視②遠視③乱視
※老眼(老視)は調節異常なので、屈折異常ではありません。
角膜と水晶体のプラスレンズで網膜に焦点を合わせるのですが、網膜に対して前方で焦点が合うのが①近視、網膜の後方で焦点が合うのが②遠視 縦方向と横方向等方向によって屈折が違うのが③乱視となります。
で、今回は遠視のお話!
遠方の光が、角膜・水晶体で屈折した焦点が網膜の後方で焦点しています。
無調節の場合は、焦点が合わずピントが合わないのですが、人間の眼の水晶体は調節が出来るので・・・・
調節を使って、ピントを合わす事が出来ます・・・が・・・・
通常、水晶体の調節は近くを見る時に副交感神経を使って行っているもので、近くを見る働きで遠くを見ている状態で、その状態の眼で近くを見る時には、更なる調節が必要になります。
まともな眼鏡店なら常識で、「調節力のある遠視眼は視力が良いけど目は疲れる」ので、遠視(プラス)レンズのメガネを常用すれば、目の疲れは軽減する事を知っています。
ただ、目は右目と左目があるので、注意が必要です!
人間の眼は調節と同時に輻輳(目を寄せる機能)が入ります。
難しくて文章でうまく説明出来ませんが、人間の眼は近くを見る時に調節をして、輻輳(目が寄る)が入るという合理的な機能がDNAに織り込まれているのです。
それで、遠方眼位が正位で遠視眼の場合は、近くを見る時に調節が入ると調節性内斜位といって、左右の目が寄りすぎてしまうのです。
今回の事例のご紹介
全国でも取り扱いが少ない、ちょっとお高めのラグジュアリーブランドをお買い上げいただきました。(当店は正規取扱い店ゆえに制約が多い↑このブランド)
裸眼視力は良いので、最初はオシャレ用のダテメガネとしてお買い上げいただいていたのですが、目や色んな所が尋常じゃないぐらい疲れるので、一度眼を調べてくれないかとお測りしたら、表題の「遠視眼で外斜位」
前に書いた通り、調節と輻輳を使えばムチャクチャ裸眼視力は良いのです!!
眼は視力が良いから、目が悪くない訳では無いのです。
「遠視の外斜位」の場合、遠視だけを補正すれば外斜位だけが残ってしまいます。
調節と輻輳が同時に機能するため、遠視だけを矯正すれば、輻輳しないので目がが外斜位になってしまう場合があるのです。
今回、眼にとってベストな度数を入れて見ると、30数年しみ込んだ眼の使い方と違う眼の使い方をしてみないといけない為に、見えるけど違和感が強いとの事。
(よくある現象です)
そういう場合の選択肢は、
①頑張ってその度数に無理やりなれる
②弱い度数から慣れて、徐々に度数をあげて、ベストな度数にたどり着く
方法があります。
②の場合は、レンズを交換するたびにレンズ代金がかかります。
(このような場合は当店の見え方保証の対象外になります)
(レンズ交換する間隔は1か月なのか1年なのか2年なのかはお客様しだい)
今回は②の徐々に慣れる方法を選択されました。
ベストな度数にする場合は、
前に書いたように、外斜位が残ってしまうので、ベースインプリズムが必要ですが、今回は度数を違和感に堪えれるギリギリの度数にしたため、プリズム度数も変化します。
当社が開発したアプリなら、度数をどれくらいゆるく(強く)した場合には、AC/A比(どんだけ調節するとどれだけ目が寄るか)を考慮して、プリズム量の増減も自動計算してくれます。
(当然斜位量と余力量を入力すれば適正なプリズム量の範囲をも計算するアプリです)
当店では、眼の状態や目的等、いろんな角度から考慮し、快適に使えるメガネを提案しております!!
10月1日からステルスマーケティング規制法が施行されました。
「当社のブログ内容は全て広告です!!」
って書いておけば良いのでしょうか?(笑)
[コメントする]度数の変わるレンズ
カメラ等のピント合わせをする基本は、プラスの度数のレンズの間の間隔を近づけたり離したりして焦点を合わせます。
虫眼鏡(ルーペ)(拡大鏡)で拡大してみる場合も、目と見たい物の間のルーペを近づけたり離したりしてピントを合わせていると思います。
カメラ等のピント合わせはレンズ等の間隔を変えてピントを合わせてるのに対して、人間の目はとんでもない速さで水晶体の厚みを変化させて水晶体の度数を変えてピントを合わせています。
(まだ人類がたどりつけていない機能)
次の動画を見て見て下さい!!
1枚のレンズがとんでもない速度で度数が変わっている様子が解ります。
なんか凄く度数が変わっていきますね!!
でもこれはデジタルな度数測定方法で、レンズの表面のキズのせいで正確に度数を読み取る事が出来ていないだけで・・・・・・・
アナログなレンズメーターで測定すれば、
-2.0Dで度数は全然変化しません。
これ写真で撮ったからタマタマで、動画で撮影すると目まぐるしく度数は変化していたのかも分かりませんね(笑)
この投影式のレンズメーター、たぶん40年以上前に購入した骨董品ですが、微妙な度数調整が必要な時には、デジタル機器では対応が出来ない場面があるので必須な機器でもあります。
このアナログなレンズメーターは、レンズの基礎を教えるための新人教育にも必須な機器で、壊さないように大事に使用続けます。
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