技術的お話
瞳孔径の変化の実験
夏になるとTV等でサングラスの事が話題に上がりますね。
よく取り上げられる内容は、「濃い色のサングラスは、瞳孔が開くためUV(紫外線)カットしていないサングラスをかけると危険である」
その根拠の一つに瞳孔径の変化があります。
で、サングラスを得意としているメガネ屋として、他から入れた情報を鵜呑みにする事無く実験してみました!!
まずは、普通の検査室の明かりプラススタンドの明かりも足した状態
次は検査室を暗室にした状態
通常(一番上の写真)にサングラスをかけた状態
暗室にしてサングラスをかけた状態
うん・・・・・
変化がほとんど解りません・・・・
で、今日は天気も良いので外で実験してみます。
8月1日 PM2時頃・快晴 たぶん気温三十数度
裸眼の状態の瞳孔は!!!!
さすがに瞳孔は縮瞳していますね!!
次はサングラスをかけた状態を撮影しました!!
ここまで読んでる方がいるのかどうだか(笑)
もし読んでいたら同業者の方か、このブログの数少ないファンの方か・・・
カンカン照りで、サングラスをかけると瞳孔の大きさがどれくらい変化するのか、予想してみてください!!!!!!!!!!!!!
①縮瞳したままほとんど変わらない
②瞳孔は若干広がるが、室内ほど広がらない
③瞳孔は室内にいる時と同じぐらい広がる
④瞳孔は室内にいる時以上に広がる・・・・
さすがに、カンカン照りの日はサングラスをかけると瞳孔が散瞳します!!!!
が、瞳孔が開くと言っても、室内にいる時と比べたら、まだまだ縮瞳している事が解ります。
以上の事から、正解は②番の本当に眩しくて瞳孔が縮瞳している時にサングラスをかけると、瞳孔が若干開くことが確認出来ました!!!
室内等にいて瞳孔が開いている状態では、サングラスをかけても瞳孔はさらには開きません。
(当たり前ですね)
で、この実験の目的の、
「濃い色のサングラスは、瞳孔が開くためUV(紫外線)カットしていないサングラスをかけると危険である」
濃いサングラスをかけると瞳孔が開くは「ファクト」事実です。
さあ次の実験が本命の実験です!
瞳孔が開くほどの濃い色のサングラスレンズで、UV(紫外線)をバンバン通すレンズはあるのか!?
[コメントする]ハナモリ インジェクション編
金属フレームの鼻パットは大概金属アームで作られていて、それを調整すれば自身の鼻の形状に合わせれるのですが、プラスチックフレームの場合、鼻パットが低くて自身の鼻の形状に合わない場合があります。特に海外仕様のフレームの場合などは、鼻の高い欧米人の鼻に合わせる形状になっている場合が多いので、鼻の低い日本人の鼻の形状に仕様変更が必要になる時があります。
このブログで何回もハナモリの記事は書いていますので、是非ハナモリで検索してみてください・・・・僕も検索してみましたが・・・・なんとへたくそな記事内容にびっくりしました(汗)
ハナ・モリ「HANA MORI」
↑6年前に書いた記事ですが、文面を読まなくても写真で解る記事です。
過去のハナモリの記事はだいたい溶着が可能な、セル生地かアセチ生地でした。
今回紹介するハナモリは、溶着が困難なインジェクション生地の場合の一例
僕の私物のオークリーのインジェクションフレーム
だいぶん前に購入した物で、現在はほとんど使用してないので、サンプルにしてみました。
色々出っ張ってるところを削り取り・・・
右側と左側を別の形状のアームを取り付けてみました。
溶着タイプの鼻パットのアームなら穴を開けないで出来るので、やり直しが容易ですが、穴を開けて固定する今回の場合は、取り付ける位置も重要になります。
[コメントする]乱視とは
メガネ屋さんでメガネを作る為に検査する時、
↑こんな視標を見せられて「時計で言うと何時数字の線が濃く見えますか?」
とか、
こんな視標を見せられて「1番の見え方と2番の見え方とを比べてどちらが鮮明に見えますか?」
との検査を受けた事があると思います。
どちらも乱視の自覚検査の時に行う検査です。
(当店では時計の視標の検査はほぼ行っていません)
眼鏡技能製作士の国家検定では、上記のどちらか一つを選択して受験します。
座学で主に学ぶ「乱視」とは、
よく球技のボールに例えられて「バスケットボール」みたいな眼球が乱視が無くて「ラクビーボール」みたいな眼球が乱視だと言われています。
角膜を正面から見た時に、レンズの縦のカーブと横のカーブが違っていて、焦点の合う位置が違う場合ですね。上記の画像で言うと右上の「乱視」で、網膜に対しての焦点の位置で、更に分類が解れます。
一応検査の原理を書くと、放射線(時計)の乱視の出し方は、雲霧(焦点を網膜の前方)をかけ、濃く見えるラインにマイナス乱視の軸を合わせて、濃さを均等にしていく方法。
当店が主に行っている方法は「クロスシリンダー法」で
プラスの度数とマイナスの度数が均等に入った乱視レンズを用いる検査方法で、今から100年前に考案された方法です。
だいぶん前に考案された方法ですが、いまだにこれ以上の自覚検査は無いと思います。
もちろん原理は解っていますが、ここに書くと大変で、書いてもあまり意味が無いので割愛しますが、理屈が解って検査しているのと、理屈が解らずマニアル通りに検査するのとは精度が全然違うと思いますが・・・・・タブン原理が解って検査している方は少数だと思っているのは僕だけでしょうか(笑)(アクマデコジンテキケンカイデス)
このクロスシリンダー法は原理だけでは無く、経験値と想像力が問われる検査です。
自慢すると、40年前の眼鏡学校時代の3か月の眼科研修で、派遣された大学病院での検査には他覚検査機(オートレフ)はよっぽどじゃ無いと使用させてもらえず、テストレンズだけで何十人の眼を測っていく作業を経験しました。学生の勉強の場でもある大学病院だったからこそ当時は他覚機器を使用する事に限定的だったのだと思いますが、ズワーと並んだ患者さんの眼を次から次とパズルを解くみたいに視力を出していくのは結構楽しかった記憶があります。
タブン何人もいる検査員でダントツに早く視力が出せたと思います。
大学病院の眼科に来る患者さんは、(矯正)視力自体が出にくい方が多くて、そこでの検査は、最高視力がどれだけ出るかだけが重要で、メガネの度数の処方とは違うので早ければ早い方が良いのです。ただドクターに解りやすい用にカルテに度数と視力の変化も記入してましたので、最高視力の最弱度をしっかり意識して検査していました。
眼鏡制作技能士の実技の国家検定には、他覚機器の測定数値も示されているので、実技試験で他覚値を示さない方がしっかり実力が解ると思うのですが(笑)難易度が極端に上がってしまいますね(汗)
話が逸れました・・・・・
本題は座学で学ぶ乱視は、機械で製作したような眼の話で、実際の眼はそう単純ではないのです。
当店で導入している測定機器の中にこんな機器があります。
角膜に同心円上の光を反射させて、角膜の形状をスキャンする機械です。
「OPD-ScanⅢ」
これで測定すると、座学で学んだ「乱視」とずいぶん違う眼をお持ちの方が散見されます。
この方などは、極端に言うと乱視の軸が3つもあるのです。
機械も(円錐角膜疑い38.9%)の表記
オートレフ的な数値は、乱視の平均値的なものを出すので、水平方向にマイナス軸(直乱視)が表記されますが、クロスシリンダーではアッチに寄ったりコッチに寄ったりで、最高視力も全然違う乱視の角度でも出るのです。
(Aの角度の乱視もBの角度の乱視もCの角度の乱視も同程度の視力が出てレフの数値では視力が出ないという複雑さ)
上記の普通の乱視では、乱視の角度が大きく変われば視力差が大きく出るので、乱視の角度を大きく変えても視力が出る事は普通ないのです。
クロスシリンダーを用いた検査で違和感がある場合のOPDスキャンの数値はこのような複雑な場合が多いのです。
ただ、そのような乱視に完璧に対応できるメガネのレンズは現在は無いので、後は対処療法的な優先順位の順にでレンズを選択していきます。
ちなみに、上のような形状の方の視力は、しっかり1.0以上出ているのです。
ただ、同じ1.0の視力でも、見え方が違うのです。
例えばの例であげると、画素数の違い的な・・・・
当店では、顧客満足度を少しでも上げようという思いから検査機器にも投資をしています。
NHKで放送されてから問い合わせが多くなった
NHKあしたが変わるトリセツショーから引用
↑この機器や、今回の機器!!
今回紹介しているOPDスキャンは、まあまあの車が買えるお値段なんですよ・・・・
当店の検査機器の検査は、メガネを購入してもらうための検査なので、高額な機器を使用しても検査代としての料金はいただいていません。
(検査だけを目的とした検査はしていません)
メガネ代金が割高になっている訳でもありません。
(普通のメガネ屋さんの料金体制です)
今回の機器は補助金を活用はしていますが、それなりにメガネを販売しないと経営が成り立ちませんし、活用した補助金以上に税金も納めないといけません・・・・
何が言いたいかは、お察し下さい(笑)
お察しいただけたとは思ってますが・・・・・
ハッキリ書くと色々頑張っていますので当店でメガネを買って欲しい(笑)
[コメントする]遮光レンズ
先日に遮光レンズの講習会がオンライン(ZOOM)で開催されたので参加いたしました。
講師は東海レンズさん。
遮光レンズとは、
1・まぶしさを抑える
2・暗くならない
3・コントラストを高める
開発はじめ1988年の頃は、網膜色素変性の患者さん用として眼科さんにアプローチを開始したレンズとの事。
まぶしさを感じる波長は、人間が見える可視光線の中でも、紫外線に近い短波長の領域です。
バイオレット光とかブルーライト光と言われている領域です。
当店にはすでに、この東海光学さんのCCPシリーズレンズの取り扱い店で、体験レンズは常備していて
実際にレンズを通して体感する事が出来ます。
光の波長(色)による見え方の違いなどもあり、当店ではかなり前からファッションだけではない機能的にサングラスの色を決めている経緯があります。
で、最後の質疑応答で質問してみました!
「このシリーズのカラーにはブルー系が無いのには意図がありますか?」
の返答は・・・
「ブルー系のカラーは黄色系の波長をカットするので・・・・」
上の図の遮光レンズの特徴を考えると、明るさを感じる中間波長領域は黄色系なので、そこをカットしてしまうと遮光レンズでは無くなってしまうという事でしょうか・・・・
TALEXの偏光レンズなどはいち早く波長(色)と偏光フィルターの組み合わせによるレンズを開発販売して来ていて、それを深く理解出来ているお店しか販売できないプロショップ制を取っています。
この東海光学の遮光レンズも限定の取り扱い制を取っています。
当店はしっかり取扱店になっていますので、ご相談は当店までお願いします。
また公的な補助が出る要件の場合もありますので、眼科さん等にご相談されてもいいと思います。
当店では公的な補助の対象者じゃない方のご相談にも色々受けていますのでお気軽にご相談くださいませ。
[コメントする]成長期の調節ラグ
当店の検査内容には、遠近両用や老眼を測定する場合にはもちろん、若年層の方にも調節系の検査(調節ラグ)を必須で検査項目に入っています。
今回、成長期でお顔の顔が大きくなって、メガネが小さくなったと12歳中1女子
1.5年前(小学生)の時に購入いただいた、今のメガネの矯正視力が0.8とちょっとだけ落ちているのですが・・・・成長期としての変化はそう多くは無い印象です。
問題は上にも書いた調節ラグが・・・・
若年層は調節力が十二分にある為、近くを見る時に調節しすぎる傾向にあるのですが・・・・
この子の場合左右共に+1.75D・・・・まるで老眼(50歳)ぐらい・・・・
この場合疑わないといけないのは、調節のフリーズ現象・・・・・
(近くを見続ける状態が続くと水晶体が調節をしている状態で、その状態のまま測定してメガネを作ると近視の過矯正になってしまい近視化が促進されてしまう)(調節機能は自律神経に支配されている為、自律神経が安定していない時にも起こる可能性がある)
で、当店の秘密兵器、調節微動測定機で他覚的に測定してみました。
(全然秘密ではありません)
(某TV番組で紹介された測定機器です)
NHKあしたが変わるトリセツショーから引用
↑ここでも書きました。
驚きの測定結果がコレ・・・
普通この年齢ならば、カラー表示の数値が階段状に上がって行く場合がほとんどなんだけど、調節していない・・・縮瞳はレフの画面からも見て取れるほどなんですが、ブルブル無理している微動(赤く表示)は測定出来ずに、安定状態・・・
マサニ老眼・・・
最初の聞き取りの時に
「メガネはかけてる?」に対して「ハイ」だったので、
もう一度
「メガネはズーットかけてる?」に対しては、
「授業中とテニスの時だけ」
輻輳近点も問題なく、
念のため、近方視力も
問題無し・・・・
メガネをかけずに近方視して、無調節状態で近くを見る事の悟りを開眼したみたい・・・
当店では行っていませんが、若年層にも遠近両用レンズを使って、近視抑制を狙う方法もあるみたいですが・・・・
僕的には、調節とマイナス調節機能をちゃんと使ったうえで、近視抑制した方が人間の機能としては正しい気がするのですが・・・・どうなんでしょうか??
この子の場合、受験がある公立の中学校に通っているので、無調節で俯瞰的に教科書等を見る方が良いのでしょうか(笑)
色々書いていますが、当店は診察も診断もいたしませんし出来ません。
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