レンズのコーティング
メガネレンズの表面には様々なコーティングがされています。
マルチコートと言われる多層膜は、レンズの反射を抑えるコーティングになっております。
金属のコートを何層にもする事で、コートとコートが反射しあって反射が無くなる現象・・・
その他にも傷に強いコート等もコーティングされています。
最近のレンズの素材は、軽くて割れにくいプラステック素材が95%以上を占めています。
プラスチックレンズが熱に晒されると膨張するのに対して、金属やガラスコーティングは膨張しないので、クラック(ひび割れ)がおきてしまい、そこからコーティングの剥がれがおきてしまうので、メガネレンズは高温の熱は厳禁になっています。
我々もメガネのプロですから、レンズの状態を見れば、熱によるコート傷みは直ぐに解るのですが、スタッフの説明だけではちゃんと納得出来ないお客様もいらしゃるのです。
当店のスタッフがメーカーさんに調査を依頼した結果です。
各レンズメーカーさんも調査依頼をすれば、しっかり調査してくれます。
(文章の一部にモザイクをかけているのは不都合な内容があるわけでも無いですが※報告書をお客様にお渡しする事はご遠慮下さいからの配慮です)
次の事例↓を見て、どうなったらこうなると思いますか?・・・・
レンズの表面に水ヤケのような汚れが・・・・
これは洗っても取れません・・・
汚れでは無くて、レンズの表面のコーテングに化学反応が起った状態ですね。
お客様に「どこか良い温泉行きました?」と聞くと
「ん・・・・・ん・・・・」
「温泉好きだから色々行ってるよ・・・」
アルカリ性溶液でも酸性溶液でもレンズに付着すると、化学反応でコーティングが溶けてしまうのですが、ここまでになるのは経験上酸性が強い場合が多いです。
たぶん東日本に多い強酸性の名湯な温泉でやってしまったのではないでしょうか・・・・
(ペーハーが高いアルカリ性やペーパーが低い酸性の温泉は、皮脂の表面が溶けて皮膚がツルツルになるのです)
(塩酸や硫酸は皮膚だけじゃなく骨まで溶かします)
http://www5b.biglobe.ne.jp/~bunmeido/onsen_ph.html
視力が悪いと、慣れていないお風呂では勝手が悪いのですが、メガネにとっては良い環境ではありません・・・・
もしメガネごと入浴した場合は、直後に真水(中性)で洗い流してからしっかり水分を拭き取りましょう!!
もちろん「まぜるな危険」等書いてある洗剤でメガネを洗わないでくださいね!!
アルカリ性や酸性の洗剤でも洗わないでね・・・
(容器に弱アルカリとか弱酸性とか明記されています)
メガネを洗剤で洗うときはメガネ用の洗剤(中性)でお願いします!!
[コメントする]設備投資(検査機器)
当店のブログを読んでいる方なら薄々気づいていると思いますが・・・
当店の売り(強み)の一つに、「メガネの度数を決定するための検査を頑張ってる」があるのです!!
ただ、「この店は検査が良いので、この店でメガネを買う」という声は、なかなか聞こえてきませんが(涙)
(たぶん顧客様は当たり前だと思って声に出さないだけだと思ってますが)
(国家試験の実技試験は、検査・加工・フィッテング)
業界のアンケートにあるのですが「そのメガネ屋さんを選んだ理由」の断トツの1位が「近くの店だから」だった・・・・(汗)
コンビニじゃなく専門性が高い業種なので、出来たら色々調べた結果で当店を選んでくれてら幸せです。
で、その強みを増強するために、検査機器の設備を増強いたしました!!!
OPDスキャンⅢ
まだ導入したばっかで、どのように活用していくかを手探りの状態ですが・・・
色々データを取らさせてもらっていくうちに徐々に見えてきました!
メガネ屋さんにとっては必須の装置では無いので、検査室を作った時は想定していないので、無理やり設置したのですが・・・・
なんかのコックピットの様に機械がゴチャゴチャしてきました
まだ全員の眼のデーターを取らさせてもらっていなく、自覚検査していて、違和感を感じた方にお願いしてデータを取らせてもらっているのですが・・・・
検査していて当店の過去カルテに「レーシック手術後眼」って記載があったので、お願いして出たデータがこちら!
左の視標のデータの下方に、オレンジ色で「近視眼矯正手術眼(97.3%)」って
しっかり機械は見抜いて分析していますね!!
いくら検眼の熟練度を上げても、こういう眼をスキャンしたデータを読み取り分析する事は、アナログな職人魂(人間の五感)だけではどうしようもないぐらい医療機器は進化しています。
レーシック眼を測定してみて、どこのパラメーター数値を考慮してるのかが何となく見えてきました!
このお客様、レーシック手術もしていて裸眼視力も良好なんですが、運転時にはメガネをかけています。
通常状態の自覚検査でも、今お持ちのメガネでも問題無いと思われるほどの度数・・・・
結論から書くと「夜間に凄く見えにくくなる目」です。
角膜の中央値(S-0.25C-0.5)
3.00㎜地点(S-0.25C-0.5)
5.00㎜地点(S-1.25C-0.75)
夜間瞳孔が開いた状態だと視力が低下
(数日前のブログでも同じ様な内容で書いてます)
メガネ屋に来て、普通に明るい状態で視力測定すると、視力は良いし、ほんの少しの度数を入れただけで見えやすく感じてしまいます。
状況を把握出来ない良心的なメガネ屋さんだと「メガネ要らないんじゃ?」と言いかねません(汗)
この器械を導入して、まだ30例ぐらいの眼しか確認していませんが、見えてきたことは!!!!
人間の角膜も水晶体も「レンズ」なんですが、生物のDNAで作ったレンズで一定の屈折率の人口的なレンズとは大分違う事が可視化出来ます。
どうしても座学では、一定な屈折率のレンズ(人工的なレンズ)として、習い教えこまれます。
デコボコした角膜のメガネでの矯正には限界があるものの、個別の眼の状態を可視化して、最適なメガネを提供したいと思い、こんな高額な機械を導入いたしました。
日本国の補助金を活用させていただいでの導入ですので、少しでもお役に立てれるように頑張ります!!
(早速一昨日に中間納税しました)
[コメントする]レーザー刻印
当店の偏光サングラス「ZEQUE」ゼクー(旧ジール)は、お好みのカラーのレンズや度付きレンズを装着出来るように、店頭のジクーサングラスは、D品番になっています。
ジクーサングラスには同じ品番が付いた、D品番とF品番があって、F品番は最初から販売用の偏光サングラスが装着されているのです。
当店は、偏光レンズ「タレックス」の正規のプロショップとなっていますので、高品質でデリケートなタレックスレンズを加工してサングラスフレームに枠入れ出来る為、偏光レンズを入れ前のD品番の取り扱いがあるのです。
そのD品番のジクーは、最初のレンズが無駄にならずにカスタム出来る超利点があるのですが、店頭に展示した時にサングラスレンズが装着されていないと、出来上がりがイメージしにくので、当店ではお客様に販売出来ない練習用のレンズを借り装着して展示しています。
今回その販売出来ないレンズにレンズカラー名をレーザー刻印してみました!!!
当店のスタッフはレンズの色を見ただけで、カラー名・偏光度・光透過率・コントラスト率等々は頭に入っていますが(笑)
お客様は、色目だけでは判断出来ません(中には解ってるコレクターもおられますが)
カラー名だけでも解ると、カタログと照らし合わせて、どういうシーンに最適なレンズか等ご自身で検討する事が可能かと!!!
このレーザー刻印、色々練習して、販売用のレンズやフレームにもご希望の文字のオリジナル刻印が出来るようにしようと思っていますのでご期待ください!!
[コメントする]「夜!見にくい」目
「夜間の車の運転が見にくい」とお客様がたまたま同じ日に来店いただきました。
普通、夜の運転は誰でも見にくく感じるのでタマタマでは無いのかも知れませんが、お二人共に普通に見えにくいだけではありませんでした。
当店ではこの度「夜間視力の見にくい原因も他覚的に探れる」機器を導入いたしました!!!
OPD-ScanⅢ(角膜形状/屈折力解析装置)
本来は眼内レンズの度数を選定するために使える装置ですが、メガネの度数を決める為にも大いに役に立ちます!!
(読み取れる情報が多すぎて、まだまだ勉強中ですが)
(いろんな眼のデーターを集めて検証しないといけません)
(機械を開発した方もデータ分析しきれていない感じ)
当店のレフケラは、中央地点とラージエリアの測定が出来るのです。
その数値が↓(For day)と(For night)
確かに近視が1段階(-0.25D)強くなっています(右目)が、そう気にしなくても良い誤差に見えます・・・・(乱視の度数は変わっていないが乱視の角度が変化しています)
ただ、自覚検査#7がレフ値よりも2段階(0.5D)ゆるくても視力が1.2出てますね!
(当店スタッフは近視の過矯正にならないように、必ず雲霧をかけた状態から測定するように教育しています)
OPDスキャンのデータから読み解くと・・・
中央値-S-4.25C-0.5AX77
3.00地点S-5.00C-0.25AX53
5.00地点S-6.00C-0.25AX45
と、中央値から5㎜地点まで約-1.75D(7段階)の違いがある事が分かります。
これは夜間暗くなって瞳孔が広がると途端に見えにくくなることが想像できますね!!
当社のスタッフが、「眼の中心で見ているから瞳孔が広がろうが中心の度数が同じなら視力が変わらないのでは?」の質問がありましたが、レンズってそうでは無いのです・・・
上手く説明出来ませんが、レンズ全体を使って光を集めるので中心だけの屈折にはならないのです。
カメラをしている人なら判ると思いますが、絞りを絞るとピントが合いやすくなる原理(たぶん説明が違うが)そのピンホール効果でフイルム自体をカメラにしたのが、大ヒット商品「写ルンです」です!!!「写ルンです」も携帯電話(デジタル化)と共に忘れられていくのでしょうか
話が逸れましたが、この方の眼は間違いなく夜間見えにくいレベルは普通では無いのです。
もう一方の方同日(10月26日)ですね
この方はプロの職業ドライバーさん
中央値はレフケラと同じような感じですが、3.0㎜付近は近視が-0.5D(2段階)増えて5.0㎜付近は乱視がかなり増えますが、等価球面値(全体の度数)はそう変わっていません。
当店の検査室は半暗室にする事が出来るうえ、明るさを落とした視力表にする事も出来ます。
夜間運転の状況にして瞳孔を開いた状態での自覚検査も実施しています!!
※レフケラでは検出出来ない乱視を半暗室で測定するとしっかり確認する事が出来ます。
レフケラの乱視の角度は70度(倒)、レフケラの角膜乱視の軸度は3度(直)、OPDでの乱視(5㎜地点)は軸度は92度(倒)・・・・・
※では問題です、暗室での自覚検査での乱視の角度は何度(倒乱視?・直乱視?)になったでしょうか?
このOPDスキャンを通して改めて感じた事は、レフケラで出る角膜乱視の数値は、今まで想像していた単純な乱視の状態の数値では無い事に気づかされました。
OPDスキャンを導入して様々な方の眼のデーターを取らさせていただいて分析しているのですが・・・人体の不思議簡単ではないですね・・・
典型的な角膜乱視C-4.0Dの方の貴重なデータが取れたのです!!
右下の年輪みたいな等高線を機械が読み取った数値を考慮して度数を算出しているのですが・・・
前にこのブログで書いた超アナログな指標で、目視で感じる事はやはり不可能としか思えない(笑)
誰だこのウチワを商品化したのは(笑)
大分前に買ってしまったじゃないか・・・
この眼鏡技術者にしかわからない内容ですが、誰かの役に立つといいなあ・・・
と思うよりも、書く事によってムチャクチャ俺にとってアウトプットになる!!!
[コメントする]論文!? 網膜に調整機能!
実際論文を書いたことが無いので、勝手なイメージでいつものこのブログの様に書いてみる。
日頃お客様の度数を測っていると、調節(ラグ)(リード)をルーティーンで全員の方に測っていると、白内障術後(人口水晶体)の方も調節ラグ&リードが出る事がある。
調節力の無い人口水晶体(眼内レンズ)なら、完全矯正後の眼にプラスレンズをかけた場合の焦点距離は、+2.5Dの場合は40㎝、+3.0Dの場合は33㎝になるはずで、ラグ&リードは生じないはず。
調節ラグと調節リード
(眼鏡光学出版 眼鏡学ハンドブック)
同、眼鏡学ハンドブックによると、
近視進行中に眼内で何が変化するか?
で、近視が進行するのは、水晶体の屈折によるものか、眼軸長によるものかの議論が40年前からあって、眼軸長の長さが測れるようになった現代では、眼軸長が長くなる事で大部分が説明出来るようになっています。
(約40年前眼鏡学校では、仮性近視が近視になると習った記憶があるぞ・・・(水晶体説))
(ところで当時皆が言っていた仮性近視ってなに?死語?)
眼軸長が長くなる現象は、近方視が多い現代において、水晶体の調節だけではピントが合わしきれない為に、眼軸が伸びてピントを合わせるようになる現象
そこで、本題!!
「眼軸が伸びるのなら、水晶体では無く、網膜にも調整機能があるのではないか?」
と仮説を立ててみた!
角膜の屈折力は約 40D,水晶体の屈折力は約 20D で眼軸長は約24㎜
計算すると、眼軸長が1㎜長くなるだけで4Dの変化がおこる。
(過去に勉強会で計算しました)
メガネの度数で1段階の0.25Dは0.06㎜変化しただけで変わるのである。
たった0.1㎜でメガネの度数でいうと約2段階変わるのです。
そこで人口水晶体眼と天然水晶体眼を両方もつ被験者が近くに居るので実験してみました!!
(昨年8月に網膜剥離の為左眼だけ人口水晶体に当店の店長がしています)
まず被験者に近方33㎝が一番焦点が合う度数が(完全矯正値を右+1.0D左+0.25D)
右(健康眼55歳)+3.25Dで一番見やすい距離33㎝(0.75D調節)
左(人口水晶体眼)+3.00Dで一番見やすい距離33㎝(0.0D調節)
近づけてボヤケ出す距離
右+3.25D で27㎝(1.5D調節)
左+3.00D で27cm(1.0D調節)
離してボヤケ出す距離
右+3.25D で40㎝(0.0D調節)
左+3.00D で37㎝(-0.17D調節)
調節幅
右眼 0~+1.5D
左眼 -0.17~+1.0D
この数値だけ見ると、人工水晶体眼でも調節幅がある様に見える・・・
クロスシリンダーと十字視標を用いた調節反応を見ると、
40㎝で
右眼は、+1.75D
左眼は、+2.5D
と期待値通りの数値・・・・
当店には、他覚的に調節を測れる機器があるので試して見ると
なんと!調節幅は無水晶体眼の方が、水晶体眼の倍ある!!!!
(0.1Dと0.2Dなんで、誤差の範囲ですが・・・)
ま、どっちも調節力が弱すぎて(笑)
ただ微動のグラフが、無水晶体眼の方が頑張り用が無いためか一定・・・・
更に当店で新規導入した、他覚測定装置!!
OPDスキャンⅢ!!
(まあまあの車が買える価格です)
もしかして、角膜の状態がタマタマ遠近両用コンタクトの様に度数が2種類出ている??
(そんな事は自然にはあり得ませんが)
ま、高次収差もそう無く凄く良い状態です!!
最後に、自覚での強制調節をフリッパーで試してみました!
もう健康な右眼の調節力も少ないので±1.0のフリッパーは無理なので(汗)
±0.25と±0.5で試したのですが、右眼は±0.5までは頑張れたのですが、無水晶体眼の左眼は、マイナスレンズは全然だめで、0と+0.5までは頑張れる!!!
以上の事を踏まえて・・・・
検体は1例だけですが・・・・
なんとなく見えてきました!!!!
【網膜は、前位置にはずらせませんが、後ろ位置には、ほんの僅かにズラス事が出来るのではないか!?
それで年数をかけて眼軸がだんだん長くなる!!!(特に成長期)】
あくまで仮説ですが・・・・
まんざらでは無いような気もする!!!
若年で無水晶体眼の検体があれば激しく求みます。
(外傷性・アトピー性・白内障等、眼内レンズの手術歴がある方)
この、引用した眼鏡光学出版㈱ 発行 「眼鏡学ハンドブック」
難しい事が色々書いています。メガネ屋をしていて知りたいことがだいたい書いてあるので、かなりお勧めです!!
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