技術的お話
サギングアイ「ガッテン」
NHKのガッテンが最終回だったみたいで、
その内容が「しつこい目のぼやけ本当の原因解明SP」で、眼科的内容でした。
https://www9.nhk.or.jp/gatten/articles/20220202/index.html
キーワードは、「サギングアイ症候群」
斜視(斜位)の一種のお話です。
当店にも視聴者さんと思われる方から問い合わせがそれなりに来ています。
自覚のある方は「眼科」の受診が大前提です。
当店は、プリズムレンズの取り扱いは得意な方です。
日本でのレンズメーカー出荷におけるプリズムレンズの割合は、2~3%といわれています。
(1次情報ではありません)
(各レンズメーカーに問い合わせたら教えてくれるかもわかりませんがめんどくさがられるのでしませんでした)
過去に当店が200名ぐらいの眼の調査をしています。
(補助金がらみで報告書が必要だった)
調査内容はシェアードの基準に照らし合わせました。
「シェアードの基準」とググレば、当店のブログがットップに出ます(笑)
「(シェアードの基準)正常な両眼視を維持するためには輻輳力・開散力が斜位量の2倍と等しいか、またはそれ以上なければならない。」
約20%の方がこの基準から外れていました。
(遠方だけです)
(データ値がある1次情報です)
(当店が20%の人にプリズムを入れている訳ではありません)
(パーシバル等も調査すれば良かったのですが、「シェアードは遠方の眼位」と眼位による一方の「余力」の2項目で一応数値化出来る為、被検者の負担が少なくすむためです。
現在、眼位等は全員測っていますが、その他の負荷がかかる検査は必要と思われる方にしか測定していません。
(希望者には測定しています)
(全項目測定すると目に相当な負担とそれなりの時間がかかります)
話を戻して・・・・
「サギングアイ症候群」とは加齢による後天的斜視(斜位)みたいで・・・
(こんな事書いて良いのか??)
「プリズムレンズのメガネで矯正する」と番組内では説明していました。
たまたま本日プリズム入りのメガネが3つ仕上がりました!!!

画像では解りにくいですが、プリズム量は上から、
右1ΔDUWN 左1ΔUP
右5ΔIN 左5ΔIN
右9ΔIN 左9ΔIN
1Δは1mで1cm像を曲げます。
(100mで1m)
この3人ともTVを見てプリズムを入れた訳では無く、過去にお買い上げいただいたメガネにもプリズムレンズを入れていて、リピート購入の方々です。
サギングアイかどうかは、解りません。
(当店は医療機関では無いので何も出来ませんししません)
(近視や遠視や乱視の屈折異常、老眼の調節異常、斜視や斜位の眼位異常が病気かどうかの議論は、日本ではタブーとなっています)
(悲しい事に、日本の眼鏡店はグレーゾーンの中で営業しています)
(アメリカでは、業務独占の国家資格が無いと検査出来ません)

出来上がりは上から順番に、グッチのセルフレーム

ラインアートのナイロール

真下から見ると、鼻側と耳側のレンズ厚の違いが解りますが、上の上の写真を見れば分かるように顔にかければ気にならないように、考えて色々チョイスしています。

レンズ袋は9Δ×2なんですが、制作範囲を超えたオーバー度数製作をも超えたプリズム量の為、球面設計にして当店のレンズ加工にて10Δ×2のプリズム度のレンズにしています。
(プリズム度数は度数があるレンズなら変えられるという発想が僕が持つ特許に繋がってます)
(予算がもっとあれば、もうちょい上のグレードのレンズも選択出来ます)
(当店はお財布にも優しい提案も得意です)
この度数(-7.5D)で、このプリズム量(10Δ)でも、チョイスするフレームを間違わなければ、上の写真の仕上がりの見た目!!
明日に続くかも・・・・
[コメントする]近視とは
近視の定義=近視とは「眼に入ってきた平行光線が、網膜より前で焦点を結んでいる状態のこと」

網膜にある中心窩に焦点が合っていない為、ピントが合わない状態です。
原因は、①眼軸長に対して角膜・水晶体の屈折率が高いか②角膜水晶体の屈折率より眼軸が長いかです。(とりあえず2D(平面)で考えています)
正視(遠方視が良い方)が近くを見ても、ピントが合うのは、水晶体が膨らませて屈折率を上げて焦点を中心窩に当てているからです。

最近、スマホの普及やコロナ禍の影響か、水晶体が近くを見ている(膨らんだ)状態で固まっている現象を多く見かけます(ピントフリーズ現象)

本当は正視なのに、「ピントが網膜より前で焦点を結んでいる状態」
昔は仮性近視とも呼んでいました。
正視だけでは無く、近視で本当は今のメガネが合っているのに、視力が落ちている状態も同じことです。
見識のある眼鏡技術者は、今、水晶体がどんな状態かを推測しながら、度数を決めるのですが、水晶体の状態は目で見えませんし、結構厄介なのです。
今回の事例
平成20年生まれの13歳
2020年8月に眼科処方箋で製作(11歳)
2021年4月2日に視力不良?で再来店
ピントフリーズ状態になってる感じだったので、フリーズを外すと視力は良好に。
当店ではアンダー15保証があり、「1年間以内に度数が変わった場合、何回でも無料で交換できる」システムがあります。
無料でレンズ交換するのが嫌な訳では無く、安易に度数を上げてしまうと更に視力が悪くなってしまいます。
今回、
前回から丸9カ月が経過した、2021年12月30日来店
前回の経緯があるので慎重に度数を探っていきます。
(メガネを作らなくてもカルテに記録を残しています)
ピントフリーズを疑ってみても、視力はさほど改善せず・・・

調節微動解析を使ってみても、そう問題はありませんでした。
(子供の場合、微動は激しいので上の状態は標準値内)
(しかもレフの数値が強く出ていました)
今回は度数を上げる事となりました。
前のメガネから1年半、お顔のサイズのだいぶん大きく成長しているので、0.75Dの進行は致し方なしか・・・
眼球の大きさが約0.2㎜大きくなったら、計算上0.75Dと同等の眼軸の伸びです。
越前市の小学校では、ビジョントレーニングを取り入れているし、当店でも成長期の方には、正しい眼の使い方を熱く説明しています。
検証が必要ですが、当店で購入いただいている子供の近視の進み方は、平均値より少ない気がしています!!!!
(短期的に考えると、近視が進んだ方が眼鏡店は儲かる気がしますが、当店では長期的に考えていますので、ご安心下さい・・・)
[コメントする]斜位&不同視
左右眼の度数の違いが大きい事を不同視といいます。
昔(30年ぐらい前)に僕が習ったのは、左右の度数の差が2D(ディオプトリー)の場合、網膜上で像の大きさの違い(不等像)が起こるから注意しましょう・・・
だったのです。
現在の常識は、不等像がおきない場合は、左右の度数の差はその限りではありません。
(常識(教科書)は時代と共に変化するのです)
メガネの両眼の度数バランスを整えるのは、度数でも視力でもなく、調節なんですね。
(説明が難解なので割愛)
メガネの最適な度数を考えるのに「調節」がある事で難解にしています・・・
「調節」や「補正」は脳が支配しているので、絶対が無いのです。
まあ、近い将来は「AI」が最適な度数を導くのかも知れませんが・・・・
今回の事例は、

決定度数
RV=S-8.75C-2.50AX30 5ΔUP 3.5ΔIN
LV=S-2.00C-2.00AX10 5ΔDN 3.5ΔIN (両眼視力1.0)
現在の度数は5年前(18歳)眼科処方箋
RV=S-7.00C-2.50AX30
LV=S-1.75C-2.00AX10 (両眼視力0.9)
小さいころ未熟児性網膜症で手術歴あり
アイパッチを使った訓練あり
右眼は弱めの弱視有り(0.56)
両眼視は良好ではないものの出来る状態
上のデータを見ていただいても判る通り、視力が良好な左眼の度数はほとんど変わっていません。(大きいプリズムΔ度数は入ります)
いまのままの度数でも日常生活はなんの問題も無い度数です。
ただ、本人が右眼を使っている感覚が無く、両目で見たい・・・
との事で、日にちをかえて精密な検査にご来店いただきました。
左右眼に大きな斜位があるため、両目揃って網膜の一番見やすい中心窩で物を見ていない状態、いわゆる固視ズレの状態で、視力が出にく右眼をほとんど使っていない状態でした。
両眼バランスをケアしてない場合(エビデンスは無いのですが感覚的)(いろいろな事例を見て)使用してない方の眼の近視化がどんどん進む気がしています。
ただ、眼位を補正するプリズムレンズΔを使えば、問題は解決するのか?
という単純なものでは無く、今回の場合は、本人の強い覚悟が必要になってきます。
今までのメガネで生活に支障がなかったのに対して、今回のメガネは最初強い違和感が発生しる事が予想されます。今まで使っていなかった眼筋や脳が悲鳴を上げるのです。
(抑制が入って片眼づつしか見ていない方は違和感がそう出ません)
(強い違和感が出ているのは両眼視をしだしているからです)
(今まで両眼視が機能していなかっただけで、違和感が抜ければ(慣れれば)それが普通なのです)(身体の機能は使わないと劣化していきます)
眼は左右に二つあるため、一眼づつの度数が合っていてもそう単純ではないのです。
今まで通りモノビジョンの度数で行くか両眼視機能を使った眼鏡の度数で行くかどっちの度数が良いのかは僕には判断出来ません。
メリット・デメリットを説明して、体感してもらい、本人が自身で判断してもらうしかありません。
(本人以上に家族も悩んでいましたが、見え方等は本人しか解りません)
(もっともっと年齢が過ぎて、困っていない方には、あまりお勧めしません)
もしダメだったら、レンズを元に戻す事で、一度チャレンジしてみる事になりました。


左右度数差とプリズムがある度数ですが、フレームやレンズ加工に工夫をすれば、厚みの差は気になりません。
今後は、左右眼をしっかり使う練習が必要です。
一番有効で簡単な訓練が「ブロックストリングス」

↑この画像は失敗作のブロックストリングスなのですが、ブログ内の画像検索に引っかかったのがこの画像でした(汗)
(ホームページ内に商品カタログを作ったため膨大な画像が出てきてしまい、過去画像にキーワードを入れていないので検索にかからずに意中の画像を探すのが嫌になってしまった)

ブロックストリングスは、両目を使えている事を本人が確認出来て、輻輳・開散の訓練が簡単に出来て超お勧めです!!!
[コメントする]夜間視力 パートⅡ
「インフォームドコンセント」は医学用語で・・・
この言葉に変わる日本語は「説明と同意」となっておりました。
当店は医療機関では全然なくて、ただのメガネ店です。
ただ、お客様の必要とする眼鏡の最適な度数と設計を提案するのに、眼の状態をお調べしたうえで、生活環境をお聞きします。
今回のケースも「夜間に見にくいからその時のメガネが欲しい」

今回も瞳孔(角膜)の中心部より周辺部の方が屈折力が強い例でした。
しかも前回より、度数自体が弱いため変化の割合が多くなります。
ただ、今回は暗室にして輝度とコントラストを落としてもそう自覚度数の差はありませんでした。
あれ?この方日中はコンタクトをしているのに、何で夜間運転用のメガネ??
普通コンタクトを常用している場合、帰宅してからコンタクトを外しメガネにする場合が多いので、コンタクト常用者のメガネは室内でしか使わない方がほとんどなんです。
前回も書きましたが、室内でしか使わないメガネは、室内用の度数にした方が良いのですが・・・
で、色々質問した結果・・・・
①帰宅するとコンタクトを外し裸眼でいる事
②その後下の子の習い事のお迎えに眼鏡で運転する事
それなら、夜間専用眼鏡を作る事に同意します!
なんか上の「説明と同意」が逆のような気がしますが((笑)
このお客様の眼、他覚値(眼球の形状を機械が自動で読み込む)と自覚値(被検者が最も見やすい度数)がかなり違う(割合的に)のと、角膜乱視はかなりあるのに、全乱視はほとんどない。
調節ラグも左右差があり(他覚値と反対)角膜の位置での屈折力が違う事から、検者側(僕)から何か違和感があったりします・・・・
出来上がるメガネの度数は一緒になったとしても、色々考えて出した度数と、パッパと測って出した度数では、意味合いが大きく違っていると思って頑張っております。
生活環境や年齢や色々しつこくお聞きしますが、見えるだけでは無く使いやすくて楽なメガネになるよう努力しておりますので、応援よろしくお願いします!!
眼球の高次収差を他覚的に測定できる機械が有れば、この違和感の正体が判明するかも知れませんが・・・・
(判明してもメガネの度数は変わらないと思いますが、自己満ですが僕が納得できます)
結構お高いのです・・・・
顧客様の更なる応援が有れば、購入できる日が来ると思いますので、是非是非よろしくお願いします!!
ついでに、ご購入いただいたメガネはこちら


人気芸人さんとのコラボモデルで、購入しやすい均一レンズセットの品物です!!
[コメントする]夜間視力
会社の健康診断で、メガネの視力が悪かったとの事でご来店いただきました。
過去にこのブログにも書いた事があるのですが・・・
(探してリンクを張ろうとしたのですが埋もれています)
勤務中に会社内で、卓上型の測定器で測ると視力が上がりにくい場合があります。

こんな感じの覗くタイプ
原因は色々考えられるのですが、
①遠近両用レンズをかけて覗いた場合、近方用の度数の地点で見てしまっている。
②近接性調節が働いてしまっている。(機械近視)
(光学的に3~5mの距離になるようにしてあるのですが、脳が近くの物を見ていると感じると調節が入ってしまいます)
③仕事現場なのでPCとか使っていた直後に視力測定したために、調節が抜けきっていない場合

近方視する時は、目の中の水晶体を膨らませてピントを合わせているのですが、膨らませた状態が戻りきらないと遠方視力は下がります。
今回ご来店されたこの方も、来店直後の視力は0.6前後でしたが、調節を外して再測定すると、1.0にまで視力は上がりました。(調節の外し方は色々ありますので興味のある方は当店まで)
でも話を良く聞くと、仕事終わりの夜や雨降り時に、特に見にくいとの事で、専用のメガネを作りたいとの事でした。
誰でも夜間は、見えにくくなるのですが、特に夜間見えにくくなる目の状態もあるんです。
1月10日に同業者とのZOOM会議で出た案件ゆえに、お客様にご了承いただいた上で、通常の明るさと暗室での状態と自覚検査を2回測らせていただきました。
(1月11日検査日)

暗室にして、視標のコントラストと輝度を落として測定します。
(測定室を暗くしただけではあまり意味がありません)



当社の他覚検査機(覗くだけで自動で屈折値を測定してくれる機械)は、角膜の中心部分と周辺部分の屈折値を数値化してくれます。
[For day ][For night] と表記されます。
他覚検査だけで想像はついてましたが、自覚検査は更に度数が変わっていました。
ただ、夜間が見えにくいとしても、その夜間度数を常用する事はお勧めできかねます。
状況による複数のメガネを使い分ける事に同意していただいて、専用眼鏡をご購入いただきました。(当店ではおたかいメガネからお手軽価格メガネまで色々ありますよ)
また、当店では度数を決める事に対して、色々な質問をすることが多いです。
出来たらPCやTVまでの距離や高さや大きさ等々を測定して来ていただけると、より的確な提案が出来ます!!!
お客様に質問する内容に、年齢はマストで入っています・・・・
たまに、聞こえなかったふりをする女性がいますが、しつこく聞き直しますので、どうぞどうぞご了承いただきますようお願いします!!
(決して興味本位で聞いている訳ではありません)
(年齢はメガネ度数にとってとてもとても重要なファクターなんです)
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