技術的お話
他覚検査 と 自覚検査 どっちが重要
他覚検査とは、
眼鏡の度数を決めるにあたって最初にやる、オートレフラクターという機械に、顎を乗せておでこを当てて覗くと、気球が見えて、ピィーピーとなるあの検査
よく「これだけで解るんですか?」と聞かれますが、これだけではだいたいしか解りません・・・
その後、実際に視力表を見ながらレンズを色々と入れ替えて、最高視力が出るように度数を決めるのが自覚検査
昔はかけ枠(あの丸い何枚もレンズが入る仮枠)をかけて、レンズを入れ替えていたのですが、当店では、電動式のフォロプターで、機械の中でレンズが入れ替わるハイテク機器で時短で検査が出来るようになりました。
アナログな自覚検査であってもハイテクの自覚検査であっても、自覚検査の基本が解っていないと正しい度数に到達できません・・・
僕は大阪の眼鏡の専門学校出身なんですが、授業の一つに3か所の眼科を1か月づつ研修に行けるのです。(30数年前ですが)
最初に派遣された眼科は、特殊業界健康保険の総合病院で、ワンポイントタトゥー等が入った患者さんが多い雰囲気の病院でした。研修に入ってすぐに、一人しかいない度数検査のオバちゃんORTさんと若い女性Drが喧嘩して、翌日からORTさんが来なくなって、座学しかしてない僕が患者さんの度数を測ってました。
(眼科の視力測定は視力が出るか出ないかが重要な事)
(最初はDrが処方箋を書いてましたが、直ぐに信頼を得て処方箋も書きまくっていました)
(医師の最終判断が前提)
二件目に派遣されたのは、旧財閥系の総合病院
都会の中心地にあった事と眼科部長Drが硝子体の権威ぐらいにしか記憶がありません)
三件目が医大系の基幹大学病院
とんでもない数の患者さんを5人ぐらいの視力検査員で度数を測定
患者数が多すぎてか大学病院だからか、当時1台しかない他覚検査機を基本使ってはいけなかった(よっぽどの場合のみ)(大学病院だからよっぽどの目が多いのですが)
一件目で度胸がついて二件目で自信がついて三件目でスピードと正確性が身につきました!!
話を戻して、他覚検査機は、科学の発達で誰が測定してもそう差が無くなりました。
最近は上位機種は自動で目の角膜頂点で自動で追尾するシステムまで搭載されています。
(この機能はいらんから安くしてほしい)
ただ自覚検査は検査員の知識と経験が必要になってきます。
確かに他覚検査機はどんどん正確に測れるようになってきてますが、人間の目は機械で作ったような均一では無いのです。デコボコの角膜もあればとんがった角膜楕円の角膜、水晶体や眼球自体も均一ではありません。
今回の事例です。

まずは他覚検査(向かって左のデーター)
解るのは、近視が強め 乱視も強め
乱視の原因は角膜乱視(当店の他覚検査機はケラトメータも付いてるから解る)
その後自覚検査(一番右のデータ)
#7 右目はスムーズに視力が出るのに、左目は視力がすんなりいかないし、乱視の度数が大幅に他覚値と違う・・・
ここで優秀な検査員(俺)は、円錐角膜・不正角膜等を考える
他覚機のオート追尾機能を外し、角膜のいろんな地点のデータを取る(真ん中のデータ)
やはりかなりのバラツキが・・・・
(正確な機械だから出来る裏技)
俺「最近眼科とか行ってませんか?」
お客「今行ってきたとこ」
「コンタクトでか角膜に傷がついてると言われた・・・」
ま、今回は解りやすい例ですが、ほかにも他覚値と自覚値が違う事はそれなりにあります。
他覚的に測ってデータを数値化するのに、デコボコの数値化は出来ないので平均値的な数値化なので仕方がありません。
ただ均一ではない眼ですが、一番見やすい乱視を含めた度数がどこかにあるのです。
表題の、他覚検査 と 自覚検査 どっちが重要?は、
自覚検査員の腕前が重要でした!!
最近の他覚検査機が優秀過ぎて、自覚検査値が、ほぼ他覚検査値になる(引っ張られる)事例が多いような気がします。
大多数の人が他覚検査値のみで眼鏡を作っても、それなりに見えますが・・・
質の良い見え方や、負担の無い見え方を得るには、奥が深いのです。
[コメントする]強度近視
近視にしろ遠視にしろ度数が強いとレンズのふち厚がブ厚くなります・・・
で、なるべくレンズを薄く仕上げるためには、レンズの屈折率を高くすればレンズは薄くなります・・・
昔は「圧縮レンズ」などと呼ばれていましたが、決してレンズ圧縮している訳ではありません。
屈折率の高い素材でレンズを制作しているのです。

10Dを超える超強度近視の度数です。
使用したレンズは、世界一屈折率の高いプラスチックレンズ(1.76)で作りましたが、薄くするためのBESTはレンズの屈折率を上げる事ではありません!!
使用するメガネのレンズ経を小さくすることです!!
マイナスレンズはレンズの中心が一番薄く、外に向かって反比例状にレンズが厚くなっていきます・・・

レンズの中心だけを使うコンタクトレンズは、レンズが薄く仕上がるのです。

レンズ径が比較出来るメガネを一緒に撮ればよかったのですが・・・・
今回使用した「トウキョウスナップ」のレンズ経が43㎜で、更にセル巻きフレームになっているため、厚さが目立ちません!!
しかも、メガネを掛けた時、顔の沿線がレンズ内に入らないため、顔の一部だけグンと小さく沿線がそろう事が無くならず、強度感が強調されません・・・・
(比較写真が必要だな・・・)
近視の内斜位系レンズは度数以上に縁厚が厚くなるので、同様にレンズ径の小さいメガネを選択した方が、厚みと重さに関しては本当にお勧めです!!
レンズ径が小さくて、オシャレなメガネの代表が!

「VioRou ヴィオルー」
気が付いたら在庫が少なくなっていて、補給注文いたしました!
レンズ径は40㎜からございます!!
レンズ径は小さいのですが、顔にかけたら小さいメガネを掛けてる感が無いようにオシャレにデザインされています!!
(むしろおしゃれ!!)
(決して強度レンズの方だけ用のメガネではありません)
(子供用のレンズ径が小さいメガネを大人が掛けたら超おかしくなります)
(抵抗があると言ってる強度近視で内斜位のI・M様に本当にかけて欲しい!)
[コメントする]鼻盛 メタルパット
ワールドワイドなハナパット↓ を

お鼻の高い外人さん向き鼻パットを、日本人向きパットにカスタマイズしていきます!

今回はフレームを固定するための治具に、クッション材を使ってみました!
しっかりクッション材に食い込み固定されるので、ヤスリでガリガリする際に表側のガードテープは必要ない感じです!!

テンプルのカラーと合わせて、ゴールドカラーのメタルパットをアレンジいたしました!
パットネジもゴールドです!
パットには純正ロゴが刻印されていてオシャレ!!
同型のアジアンモデルは最初からメタルパットが付いているのですが、ネイビーカラーはワールドワイドパットのみ・・・・

アジアンモデルは、アームの長さが短くて・・・・

ガリガリ削った時に使用したクッション材は、ガリガリする時は良いのですが、パットを付ける時には安定が悪くダンボールの治具を使わないとやりにくいです。

こちらはシルバーミラーのレンズに、シルバーのロゴ入りメタルパットにアレンジ!!
フィット感はメタルパットより、シリコンパットの方が良いのですが・・・・
このメガネのカッコ良さは、断然メタルパット・・・
メタルパットの方がフィッテングの難易度は上がりますが、最善のフィッテングをお約束いたします!!!
[コメントする]初めての累進(遠近)レンズ
昔は「遠近両用レンズって良くないんでしょ?」と言われる方も多かったように思いますが、
最近はそのような声はあまり聞くことも無くなりました。
それは、レンズメーカーの絶え間ない開発が一番だと思いますし、そのレンズを適切に扱えるように指導いただいたレンズメーカーの努力のおかげだと思います。
それでも、慣れやすい眼と脳、慣れにくい眼と脳があります。
当然、両眼視を含めた、眼の度数を正確に測れている事が大前提にあります。
折角レンズメーカーさんが良いレンズを開発しても、窓口である我々がお客様の眼の状態をしっかり把握してないと、良い結果にならない場合もあります。
今回は確実に慣れにくい眼の例・・・・

メガネを常用していない遠視の遠近両用・・・・
しかも強めの外斜位

水晶体が無調節時には、網膜より後方に焦点が合う遠視眼は、水晶体が調節をすれば、遠方に焦点が合います。
ただ常に調節力を使うので、大変眼に負担が強いられます。
そういう場合には、

プラスレンズを装用すれば、無調節状態で遠方に焦点が合うので、調節力の負担は軽減されます!
これは眼鏡技術者なら誰でも知っている初級編・・・
ただ、遠視眼の方は、調節する時に輻輳を伴っている場合があり、左右の眼位を考えずにプラスレンズだけを入れると、眼位が安定しなくなり両眼視に問題を起こすことが有るので、注意が必要です!!(中級編)
両眼視の状態を考えずに、近視や乱視の度数を緩めたり、アシストレンズにしたり、遠近両用レンズにしたりするのも、問題がある場合があるので注意が必要です。
で、今回の例ですが・・・・
累進帯の長さや、アイポイントの加入パーセントや、ベースインプリズムの事やレンズ設計の事や色々書こうと思ったのですが・・・・
書いても誰も読まないと思うし・・・・
上手に書けないし・・・・
ただ、当店は、しっかり勉強して、ちゃんと考えてお勧めしているんだ!!
と思っていただいて、信頼していただいたら幸いです!!
ちゃんとした正しい度数で、正しい理解の元に正しく使用していただいたら、遠近両用メガネはとても便利で快適なメガネになるはずです!!!
[コメントする]失敗事例 by 調節
メガネを作るのに、度数を測ります。
視力が上がるだけの度数を測るのは、そう難しくは無いのです。
ただし快適でしっかり見える度数を測るのは、そう簡単ではありません。
一番厄介なのが、調節機能

遠方の像を網膜の中心窩に焦点を合わせるために、角膜と水晶体のレンズで屈折させるのですが、角膜の度数は変化しませんが、水晶体の度数は変化するのです。

上方の図は、正視の方の遠方視
下方の図は、近くを見ている時の近方視
携帯のカメラでも一眼レフでもビデオカメラでも、遠くの物に焦点を合わせた後、近くの物に焦点を合わせるとボヤけて、オートフォーカス機能が働いてピントが合う・・・
今のところ人間の眼の機能より早いオートフォーカス機能は無いと思います。
この水晶体が膨らんだり縮んだりしてピントを合わす機能が「調節」機能!
人間の眼の機能は、機械みたいに単純にフォーカスしている訳では無いので検査に当たって一番厄介なんです。
検査している時に、水晶体がどの状態になっているかを正確に想像把握していないと、ちゃんとした眼鏡が出来上がりません・・・
さらに眼は二つあり、眼位や輻輳等によっても調節が連動されるのでより複雑です。
(視機能は自律神経に支配されているので、脳や心の状態にも連動されます)
過去ブログ ↓ 負の調節
https://heart-land.jp/archives/38839
「日本眼鏡学会ハンドブック から引用」
「第4章 調節
調節安静位
どこを見る事もなくボーッと見ているときには、遠点にピントが合った状態ではなく、それよりも若干近くにピントが合っている。これは生理的調節緊張状態とよばれてるが、そのときのピントが合っている位置は調節安静易とよばれる。
調節の名称
調節安静居位から近方に向かう調節を正の調節(単に調節)とよび、調節安静位から遠方へ向かう調節を負の調節とよぶ。」
引用終わり
正の調節は自律神経の副交感神経を使い負の調節は交感神経を使用します。
ただこの事(負の調節)は眼鏡業界にはあまり知られていません・・・・
(最近の論説なのか?)
水晶体の状態を考えつつ、負の調節をちゃんと意識していれば、近視の過矯正はそうおこらないのですが・・・・
で失敗例・・・・
コロナでの緊急事態宣言が出た自粛期間中の一部の学生さんのメガネを制作するのに検査・・
その時期このブログでも、ピントフリーズを注意する事を何回か書いた記憶があるのですが・・・
当然、調節を剥がす方法を数種類試して、大丈夫だろうと決定した度数が・・・・
調節を剥がし切れて無かった事例・・・2件・・・・
ピントフリーズ現象による視力低下・・複数件
恐るべき緊急事態宣言・・・ステイホーム・・・・
社会的不安の中で、家の中に留まり遠方を長時間見ない生活が続くと、子供たちの眼はこうなるのか・・・・と、まざまざと感じた期間でした。
TVでは季節性の風邪が流行っていると不安をあおっております・・・
外出時には感染予防対策を・・・・・・
追記
記事の中に書いた負の調節的な微調節・・・・
水晶体だけでなく眼伸でも若干おきてると仮定してみる
計算上角膜から網膜までの長さが1㎜変わると約4D変化する。
0.5Dなら0.25㎜変化するだけで微調節が出来る。
調節不可能な人工水晶体(眼内レンズ)を装着した人でも若干微調節していると思ってるのは僕だけでしょうか・・・・
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