技術的お話
いろいろな質問してみました!
認定眼鏡士の講習会の続きです
福井県の場合、講習会の後、場所を変えて懇親会が開催されます。
参加するのは役員さんが多いのですが、講習会参加申し込みの返信ハガキにも、懇親会の参加・不参加の欄があるので、福井県所属の認定眼鏡士なら誰でも参加できます。
例年、眼鏡技術者協会の教育部長の内田先生も参加されるので、講習会の直後の大勢の前での質問はしにくいけれど、懇親会の場での質問はしやすいのです。
講習会の中でも話に上がったのが、検眼室の個室化とその明るさ調整
講習会参加店の中で個室化していると手が上がったのが、そのうち二社!!
当店もその内の1社で、店舗改装時にどうしてもやりたかった事の一つでした。
ただ個室にしてLEDのダウンライトにしたため、想定外の事態が!?
フォロプターに付いてる近見視力表に、上の棒の影がクッキリと出てしまう・・・
(写真バックの壁の色が黒の為、部屋が暗く映ってますが、影がクッキリ出るという事は照度は十分なんです。後に解説)
で、どうしたかと言うと、フォロプターに付いてるLEDライトと手元灯を近見視標に当ててみました!!
だいぶん薄くなりましたが、まだ影は出てしまいます・・・・
で、原因のLEDダウンライトを消すと、
当然影など出ません!!!!
実際こうやって測定していたのですが、このやり方は問題が無いのか???
先生曰く「輝度」なので、そう問題がないんじゃないかとの事でした。
(輝度と照度を復習しましょう)
自分の眼で確かめてはいましたが、一抹の不安が払拭されました(笑)
もう一つは、夜間視力(夜間度数)について
当店のオートレフケラメーターは、瞳孔の中心地点と周地点を測ってくれて、瞳孔が開いてる場合の度数も測定してくれます。
右眼が僕で、左眼が嫁です。
(For day と For night)あくまで参考値ですが、僕は夜間は近視が強くなり、嫁は夜間乱視が強くなります。(しかし嫁はほぼ正視・・・小さい頃勉強しなかったのでしょうか(笑)
試しに暗室と通常で、オートレフを採って見たらどうなるか実験してみました。
あれ、レフケラの中の視標は、晴天だ!!!(笑)
さきほどの照度と輝度の関係でいうと、瞳孔の大きさは変わらないのか????
レフケラにはモニターが付いてて、瞳孔の様子が大きくなってよくわかります!!
結論から言うと、他覚値は部屋が明るくても暗くても、変わりませんでした。
瞳孔の大きさは、明るい→暗い は、ほぼ変化なし
暗い→明るいは、照明を付けた一瞬だけ、縮瞳してすぐ元に戻った。
(自律神経に支配されてる瞳孔反応は明るさだけの変化では無く、瞳孔反応は複雑です)
当店の視力測定室は、省スペース型の視力表を使用しております。
省スペース型の欠点は、調節ラグが取り切れないのでは?との事です・・・・
ここで調節ラグの説明を・・・・
自分の「1m先に置いた鏡」と「1m先に置いた風景が映ったTVモニター」を比べると、TVモニターの中の遠い先に有るような風景画像を見ても、人間の眼は1m先の物を見る調節を使って1m先のモニターを見てしまいます。
片や1m先の鏡は、鏡に映ってる自身は2m先の調節、自身の背後に映っている風景は無限遠を見るように調節はせずに見て、遠くの風景も近くの自身もどちらにもピントを合わせる事が出来ます。(モニターに映ってる画像では出来ません)
省スペース型の視力表は、この原理を利用して、視標が機械の中の5m先にあるように設計しておりますが、実際の機械が1m先に有ると1mの調節が入りかねないとの考えです。
当店では、機械自体を壁の中に埋め込んで機械を見えなくして、壁に穴を開けてその穴が5mあるように心理的にも思わせています。
(子供を測定していると親御さんが後ろから視力表を見たがりますが、なんせ5mもある細長い穴ですので、被験者の子供と目線の位置を合わせないと視標は見えません)
あれ、ラグの説明と微妙にずれてる(笑)
視力機器を埋め込んだ、もう一つの理由が、両眼視検査の時、右眼左眼別々に分離させて見せるのですが、利き目の視標は機械の中に見えるのですが、非利き目の視標は、機械から外れて見えてしまう(もしくは機械が二つ見える)ため機械自体を隠すことにより、測定が正確にしやすくするためです。
長い・・・(汗)
話を夜間視力(夜間度数)に戻すと、いくら検査室を暗くしても、視標の輝度が明るいと意味があまりありません・・・・
当店には輝度をも調整できる視標もちゃんと完備してます!!
通常時↑
暗い時(輝度を落とす)↑
夜間の眼鏡度数の自覚検査をする時は、輝度だけで良いのでしょうか・・・・
被験者がいる測定室の照度を落として、視力表の輝度も落としてみました!!!
なんか変(笑)
視標のある部屋の照度はどうしたら良いのでしょうか(笑)・・・
お客様が「夜の運転の時見にくいんだよな・・・・」と言われる方がよくいます。
その場合、僕「夜の運転に使用する時間はどれくらいですか?」とお聞きします。
ほとんどの方が、夜の運転で使用する割合は少ないのです。
その少ない時間に合わせた眼鏡を常時使用するのは、あまり賢明とは思われません。
夜間運転に使用する眼鏡は、夜間専用に別に作った方が賢明です。
夜間運転をするプロのドライバーさん等、夜間用の専用眼鏡、当店ではしっかり測定いたします!!!!
上の写真でも大丈夫だと思いますが(笑)一応指標があるところも暗くしますので、日没後の来店をお待ちしております!!!!
[コメントする]調光レンズ
紫外線を浴びると、着色する調光レンズ
大昔はガラスレンズしか無かったのですが、最近はプラスチックレンズで、着色する色も様々です!!
今回は「ニコン」さんの調光レンズをご紹介!!
最近は紫外線だけではなく、可視光線にも反応するレンズが発売されております。
最近の自動車のガラスはUV(紫外線)カットガラスが当たり前になってきていて、自動車の中では着色してサングラスにならない場合があります。
そんな時は、可視光線で着色する調光レンズをお勧めいたします!!
今回オーダーいただいたカラーは、サファイアブルー!
青く色ずくのが希望です。
あまり濃くならない方が良い場合は、HOYAレンズの「サンテックミスティーブルー」がお勧めです。
室内では、ほぼ無色で
外に出れば、濃いサファイヤブルー!!
紫外線が少ないところでは、薄いブルーカラーです!!!
静止画の写真だと、どんな感じで色が付くのが解らん!!!
で、動画で撮ってみました!!
試したのは、可視光線調光、アクティブブラウン!
紫外線調光よりも、強く変わるのは知ってましたが、瞬殺過ぎて、カラーレンズを袋から出したみたいになってしまいました(汗)
嫁に強力を仰いで、試してみました!!
スゲー早く変わりますね!!!
退色は、全然ゆっくりです・・・・
一本有ると凄く便利ですので、是非是非ご用命は当店で!!
本当はユーチューバーみたいな語りを入れた動画を取りたかったのですが・・・・
[コメントする]不同視 とは
「ふどうし」とは、右眼と左眼の屈折力の差が2D(ディオプトリー)以上ある場合となっております。
視力機能が発達する乳児の時に、左右眼の視力差が有った場合、良く見えてない方の目が弱視(矯正しても視力が上がらない)になる場合があります。(特に近くが見えにくい遠視眼)(乳児は眼球が小さくほぼ遠視眼)
30数年前、僕は眼鏡学校では不同視が強い場合は「強い方の度数をゆるめた度数にした方が良い」と習っていました。
これには根拠があって、眼鏡レンズから角膜までの距離12㎜・角膜から網膜までの距離25㎜離れている為、右眼の像と左眼の像の大きさが違うため不等像となる。左右の大きさの差が5%以内までが望ましいという理由からでしょうか。
今でも多くの眼鏡店や眼科さんでは、左右差が大きい場合は強い方の眼の度数を弱めてる傾向にあると思います。
今回ご紹介するお客様もそんな不同視をお持ちの、当店では初めての方です。
当店では、最初に測る他覚測定器「オートレフケラ」のプリントアウトした用紙(僕の昔からの癖で旧度数・その視力・年齢等を一旦メモします)
ここで解る事は、右眼は強い近視・左眼は強い乱視・左右度数差5.0(等価球面値)(日付が1カ月前(汗))
お持ちの眼鏡の左右度数差は2.0D(等価球面値)に抑えていますね・・・
(乱視度数は左右差を無くしたかったのか?乱視完全矯正値)
矯正視力差は、(右)0.05 (左)0.8
「レフケラ」の良いところは、ケラトメーターが付いていて角膜の曲率半径も測れるのです。
この方の左眼の強い乱視は、角膜乱視で有る事・左右の曲率半径がそう大きく違わない事から角膜の屈折率は同じぐらいで、右眼の眼軸が左眼に比べて2mm近く長い事。
で結論から
当店で決定した度数は、
左眼はそのままの度数で、右眼をドーンと上げております。
もちろん装用テストを十分にして、総合的に判断した度数です。
この方の主訴は、近くがおかしい・・・
加入度(老眼)も若干出てきてますが、一番の原因は、右眼と左眼の近方の見え方・・・
最近手に入れた武器が役に立ちます!!!
近方用、両眼視偏光テスター とでもいいましょうか・・・
この機械製造が終わって、メンテナンスも終了している古い視標なんですが、ひょんな事からで未使用品で手に入りました!!!
ズ~ト欲しかったので、数万円でも良かったけど、なんと数百円!?で!!!(未使用品ではありますがあくまで中古)
あまりの嬉しさに、キズを付けたらいけないと思いアイパット用のガードテープを貼ったら、偏光機能が無くなったのでスグ剥がしました(笑)
話がズレましたが・・・
この機械は近方斜位量も測れますが、今回は近方両眼バランスを測ります。
眼鏡の左右の度数は、左右の視力値を合わすというより、左右の調節を合わす方が快適です。
この方の古い眼鏡は、左右の度数差を少なくして遠くを左眼でしか見てません
遠くは左眼だけのモノビジョンで問題無いのですが、近くは焦点が合う地点が2か所・・・・・・・あってピントが上手く合わせられない状態になってました。
今回右眼の度数を本来の適正度数にしたことで、視力も調節も左右差が無くなりました!!!!
ただ、注意しないといけない事は、左右の大きさが違う不等像になっていないか?と
レンズの中心から外れたところで見る(特に上下)左右のプリズム効果による違和感・・・・
人間の眼と脳の凄いところは、良くも悪くも慣れちゃう事!!!
悪い方に慣れるのは問題かな・・と思いますが、良い方に慣れれるのなら慣れた暁には快適になります。
(遠近両用レンズが良い例)
この方の新しい眼鏡をかけた感想も、「コンタクトの時の見え方とおんなじだ」との事
左右の調節を合わすことで近くも安定し、単焦点でも見やすくなりました。
このような左右差が大きい不同視の場合、定説どおり強い方の度数の方を落とした場合が良い場合もあります。
が、しっかり検査をして、お客様の主訴をしっかり聞いて、一番ベストな度数で提供できるように頑張っています。
見えるだけ度数を出すだけなら比較的簡単で、人間の眼と脳は調整してちゃんと見えますが、快適に見える度数を出すのはそう簡単ではありません。
[コメントする]間欠性外斜視
「かんけつせいがいしゃい」
詳しくは下記の「日本弱視斜視学会」のホームページから
https://www.jasa-web.jp/general/medical-list/strabismus/strabismus2
https://www.jasa-web.jp/general/medical-list/strabismus/strabismus2
大きい斜位がある為に、時々斜視になりますよみたいな・・・
斜視になっている時は、利き目じゃない方は利き目と同じ方向を向いてない場合が多く、二つに見えると困るので、利き目じゃない方の見えているはずの画像は脳でシャットダウン(抑制)されている場合が多い。
ま、普通の生活にはそう支障がありません。
が、距離感が解りにくかったり、見ようとすればするほど疲れます。
今回のお客様の当店のカルテをひも解くと、14年前(05年)に初めてお買い上げいただいた時は、ハードコンタクトレンズと併用の強い-10.0の近視度数・・・
その後8年前(11年)にお買い上げいただいた時は、弱い度数で、上下左右のプリズムレンズを入れさせていただいてます。
8年以上前にレーシック手術をして、近視度数がが要らなくなったレベル・・・・
強度近視レンズ-10.0の場合、中心より1㎜ズレるだけで1プリズム発生するので少々の斜位は気にならない!?感じですが・・・
このお客様レーシック手術により近視は矯正されたのですが、眼鏡が必須となりました(確か関西の眼科さんでのオペだったはず)・・・・・
(福井県で現在レーシック手術をしている眼科さんは無いように聞いてます・・・・)
今回製作するメガネで、プリズムを入れるのは3本目になります。
最初は「どうも両眼視をしてないみたいで、今回はプリズムを抜いてみようかな」と来店されたのですが、
確かに両眼視していない、モノビジョン(片眼だけで見ている状態)の眼には、プリズムを入れようが入れまいがそう関係なく、逆に複視(物が二重に見える)になる場合もあります。
今回プリズムを入れたメガネと抜いたメガネを掛け比べてみてもらうと、抜いたメガネは掛けてられない事が体感でき理解いただきました。
で、今回はプリズムを抜くでもなく弱める訳でもなく、逆に強めました。(以前もこのブログで違う方で同じような内容を書いた気がします)これは斜位量がだんだん大きくなるわけでは無く、40代半ばの年齢になって、加齢による眼筋が弱くなり輻輳余力が弱くなったせいだと考えられます。
前置き!?が長くなりましたが、
上下4プリズム、左右14プリズムの制作範囲外のオーバー手配最大度数ですが、まだプリズム量が足りない為、球面レンズ設計でPDをずらしての更なるプリズム度数を上げました。
強度のプリズム度は、外面非球面より球面の方が球面より内面非球面の方が適していますが、内面や両面非球面はそう多くはプリズム度が入りません。
プリズムを抜きたい主訴の一つにレンズの厚さ・・・
度数が弱くてもプリズム度が強ければレンズが厚くなります。
外斜位の場合はレンズの内側(鼻側)が厚くなるのですが、なるべくメガネフレームを小さくする事によって、レンズの厚さを抑えます。
こういう検査は時間がかかりますので、時間の余裕をもってご来店ください。
当店は予約制ではありませんが、こういう検査ご希望の際には留守にしている場合もありますので、ご連絡をいただいてからの方が無難です。
また、眼鏡を作らずに精密検査だけ、というのは受け付けておりませんのでご了承下さい。
[コメントする]プリズムメガネ
当店では、両眼視機能検査に力をいれております。
片眼づつの視力が良くても、両眼で機能的、立体的に像を捉えるのを苦手にしている方もけっこういたりします。
精密機械で作られたわけでは無いので当たり前ですが、図のように寝ている時や意識の無い状態では、ほとんどの人間の眼位は、多かれ少なかれ左右の眼は別々の方を向いております。
物を見ようと思うと、無意識に左右の眼が同じ対象物にロックオンします。自律神経を使って6本の眼筋や調節筋を動かすのです。
右眼と左眼は離れたところに付いているので、同じ物を見ているのですが、左右微妙に違う角度の為、像が違うのです。それを頭の中の脳が一つの物と判断して、右目の像と左目の像を融像させて立体的に見えるのです!!距離感も右眼の像と左眼の像が近いと遠くに感じ離れていると近くに感じる・・・・
なんか凄くないですか!!!!!
一時流行った3D映画とかも、偏光レンズ等を使って右眼と左眼の画像を強制的に別々に見させて、ドーンと飛び出して見えるのです!!(最近は家電売り場でもめっきり見なくなりましたね・・・)
ただ左右眼のズレが大きい方や、調節(輻輳等)する力が弱い人はちゃんと立体的に見えているけど、超疲れてしまいます。
人間は目を寄せる力(輻輳力)は強いけど上下に寄せる力や、眼を開ける力(開散力)は弱いのです。
眼位のズレの量や調整する力や、その他もろもろ両眼での機能を測定するのが、両眼視機能検査です。
光を屈折させるプリズムレンズを使えば、左右眼のズレが多い場合や調整力が弱い等を助けてあげる事が出来ます!!!
前置きが長くなりましたが・・・・
今回ご紹介する例は、37歳黒人のアメリカ人
ま、外国語はペラペラなので、検査の会話コミニュケーションはバッチリです!!!!!
僕じゃないですよ、アメリカ人のお客様が日本語バッチリなのです(笑)
お話を聞くと、当店にいらっしゃる前に眼科さんを受診されていました。「最近近くを見たり遠くを見たりした時にピントが合いにくくなったので」との事。「眼病は無いので、眼鏡の度数を弱めたら良いですよ」との事。
確かに主訴は老眼と同じ症状で、片眼遮蔽度数検査では、度数を弱めても視力はちゃんと出ます。
ただ、両眼視機能検査では、大きな外斜位・・・
度数を弱めてしまうと、両眼視に問題が生じます。
輻輳するときに調節を使って見ているので、片眼では見えていても両眼では視力が落ちてしまうし、輻輳するきっかけが無くなってしまうので複視(物が二つに見える事)になりかねません。
結果、度数を弱めた上で、上下左右を調整したプリズムレンズでメガネをお作りいただきました。
調節力も十分にありますので、老眼にはまだ早いです。
学校の先生なので、学校で行っているビジョントレーニングを生徒さんと一緒に頑張って下さい!!!
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