技術的お話
半商・半医(と呼ばれていた時代)
僕の上の世代(60代以降)のメガネ屋さんは、半分商売・半分医療などと呼ばれた時代がありました。
一部の眼鏡屋さんは白衣を着て商売しているお店もありましたね・・・・
(現在ならうさん臭く見えるだけですね)
当然、医療を行えるのは、医師免許を持っている医師だけですので、半分医などとは間違っても言ってはいけないのです。
今年、国家資格化された「眼鏡作製技能士」もそこの部分をことさら厳しく言っています。
(眼鏡作製技能士の試験問題では、屈折異常(近視・遠視・乱視)も病気と考えられていて、調節異常(老眼)は病気では無いとのガイドライン)
個人的見解ですが、屈折異常が病気なら、近視や乱視を矯正するレンズには、一部の外国みたいに、健康保険が適応しないといけないと思うのですが・・・・
この前置きを書いたうえで、先日お店であった出来事
約二年前に初めて当店でご購入いただいたS様
脳卒中後の複視(物が2つ見える)
二年前にもブログネタにしていました。
(その後一年前にもメガネを新調いただいています)
今回は大分リハビリを頑張ったのでしょうか、自身の足で歩いて来店いただきました。
(複視が続いていたら歩く事も・・・)
二年前の度数と、一年前の度数はそれなりに違ったのですが、
(斜位系の遠視系の乱視系の度数は、メガネを常用しだす前としだす後では、潜伏している度数が表に出てきて、それなりに変化する事が多々あります)
(前回このブログに書いた通り慣れるために、あえて変化を少なくする場合もあります)
今回は、1年前とそう自覚値の変化は無かったのです。
(他覚値は、それなりに変化していました)
あらためてS様に「今回はメガネを作りに来店されたのですか?」
と尋ねると・・・・
S様のご主人が「実は片目だけ何か見えにくいと言い出したので・・・」との事
「この場合は、当店よりも先に行くのは病院です・・・」
って伝えると、
「迷ったのですが、とりあえず当店にくれば何か解ると思って・・・」
当店にとっては、信頼が得ていてありがたい事なのでしょうが・・・・
当店はメガネ屋さんで、診察は出来ませんし、当然眼病等は解りません(汗)
「まずは眼科受診してみてから脳外科でしょうか・・・」
って伝えて病院受診を勧めてみました。
このブログを書きながら、眼科受診をするのなら過去のメガネのデーターが有ったら参考になると思い、お客様に連絡したところ・・・
「手術した脳外科を受診したが問題は無かったので、次は眼科を受診する」との事
♡ 初めての紹介状 ♡
それならば、↑で書いたテンプレを基にデータを記したのを
ちょっとだけ遠方から来てもらっているので、ご自宅に郵送させていたしました。
当社は営利を目的として経営を行っている営利企業ですが、顧客様の信頼があってこそのお店です。
どっかの眼鏡店でメガネの購入を考えているのなら、当店もその候補に加えていただけたら幸いです!
できたら当店での購入をお願いします(笑)
以上ステルスではない広告でした!!
[コメントする]遠視と外斜位(広告です)
人間の屈折異常には、主に3タイプあります。
(ニデックさんの機器から引用)
①近視②遠視③乱視
※老眼(老視)は調節異常なので、屈折異常ではありません。
角膜と水晶体のプラスレンズで網膜に焦点を合わせるのですが、網膜に対して前方で焦点が合うのが①近視、網膜の後方で焦点が合うのが②遠視 縦方向と横方向等方向によって屈折が違うのが③乱視となります。
で、今回は遠視のお話!
遠方の光が、角膜・水晶体で屈折した焦点が網膜の後方で焦点しています。
無調節の場合は、焦点が合わずピントが合わないのですが、人間の眼の水晶体は調節が出来るので・・・・
調節を使って、ピントを合わす事が出来ます・・・が・・・・
通常、水晶体の調節は近くを見る時に副交感神経を使って行っているもので、近くを見る働きで遠くを見ている状態で、その状態の眼で近くを見る時には、更なる調節が必要になります。
まともな眼鏡店なら常識で、「調節力のある遠視眼は視力が良いけど目は疲れる」ので、遠視(プラス)レンズのメガネを常用すれば、目の疲れは軽減する事を知っています。
ただ、目は右目と左目があるので、注意が必要です!
人間の眼は調節と同時に輻輳(目を寄せる機能)が入ります。
難しくて文章でうまく説明出来ませんが、人間の眼は近くを見る時に調節をして、輻輳(目が寄る)が入るという合理的な機能がDNAに織り込まれているのです。
それで、遠方眼位が正位で遠視眼の場合は、近くを見る時に調節が入ると調節性内斜位といって、左右の目が寄りすぎてしまうのです。
今回の事例のご紹介
全国でも取り扱いが少ない、ちょっとお高めのラグジュアリーブランドをお買い上げいただきました。(当店は正規取扱い店ゆえに制約が多い↑このブランド)
裸眼視力は良いので、最初はオシャレ用のダテメガネとしてお買い上げいただいていたのですが、目や色んな所が尋常じゃないぐらい疲れるので、一度眼を調べてくれないかとお測りしたら、表題の「遠視眼で外斜位」
前に書いた通り、調節と輻輳を使えばムチャクチャ裸眼視力は良いのです!!
眼は視力が良いから、目が悪くない訳では無いのです。
「遠視の外斜位」の場合、遠視だけを補正すれば外斜位だけが残ってしまいます。
調節と輻輳が同時に機能するため、遠視だけを矯正すれば、輻輳しないので目がが外斜位になってしまう場合があるのです。
今回、眼にとってベストな度数を入れて見ると、30数年しみ込んだ眼の使い方と違う眼の使い方をしてみないといけない為に、見えるけど違和感が強いとの事。
(よくある現象です)
そういう場合の選択肢は、
①頑張ってその度数に無理やりなれる
②弱い度数から慣れて、徐々に度数をあげて、ベストな度数にたどり着く
方法があります。
②の場合は、レンズを交換するたびにレンズ代金がかかります。
(このような場合は当店の見え方保証の対象外になります)
(レンズ交換する間隔は1か月なのか1年なのか2年なのかはお客様しだい)
今回は②の徐々に慣れる方法を選択されました。
ベストな度数にする場合は、
前に書いたように、外斜位が残ってしまうので、ベースインプリズムが必要ですが、今回は度数を違和感に堪えれるギリギリの度数にしたため、プリズム度数も変化します。
当社が開発したアプリなら、度数をどれくらいゆるく(強く)した場合には、AC/A比(どんだけ調節するとどれだけ目が寄るか)を考慮して、プリズム量の増減も自動計算してくれます。
(当然斜位量と余力量を入力すれば適正なプリズム量の範囲をも計算するアプリです)
当店では、眼の状態や目的等、いろんな角度から考慮し、快適に使えるメガネを提案しております!!
10月1日からステルスマーケティング規制法が施行されました。
「当社のブログ内容は全て広告です!!」
って書いておけば良いのでしょうか?(笑)
[コメントする]度数の変わるレンズ
カメラ等のピント合わせをする基本は、プラスの度数のレンズの間の間隔を近づけたり離したりして焦点を合わせます。
虫眼鏡(ルーペ)(拡大鏡)で拡大してみる場合も、目と見たい物の間のルーペを近づけたり離したりしてピントを合わせていると思います。
カメラ等のピント合わせはレンズ等の間隔を変えてピントを合わせてるのに対して、人間の目はとんでもない速さで水晶体の厚みを変化させて水晶体の度数を変えてピントを合わせています。
(まだ人類がたどりつけていない機能)
次の動画を見て見て下さい!!
1枚のレンズがとんでもない速度で度数が変わっている様子が解ります。
なんか凄く度数が変わっていきますね!!
でもこれはデジタルな度数測定方法で、レンズの表面のキズのせいで正確に度数を読み取る事が出来ていないだけで・・・・・・・
アナログなレンズメーターで測定すれば、
-2.0Dで度数は全然変化しません。
これ写真で撮ったからタマタマで、動画で撮影すると目まぐるしく度数は変化していたのかも分かりませんね(笑)
この投影式のレンズメーター、たぶん40年以上前に購入した骨董品ですが、微妙な度数調整が必要な時には、デジタル機器では対応が出来ない場面があるので必須な機器でもあります。
このアナログなレンズメーターは、レンズの基礎を教えるための新人教育にも必須な機器で、壊さないように大事に使用続けます。
[コメントする]両目の練習
当たり前ですが、人間の目は左右に一つづつあります。
ほとんどの方は生まれてから無意識に普通に出来ている両目の使い方ですが、一部の方は上手に出来ない方もいます。
その上手に出来ない一部の方も、両目を上手に使えていない自覚は無いのです。
その人にとっては、上手に使えていないのが当たり前の状態で、見え方は他人とは比較出来ないからです。
当店では、度付き眼鏡を作ってくれるお客様にルーティーンで全員の両眼視機能を測定していますので、両目を上手に使っているか否かを判断出来てしまうのです。
(両眼視機能は病気では無いので診察でも診断でもありません)
その両目を上手に使っていない自覚が無い方に、「こんな事やあんな事が無いですか?」って質問すると「そうそうそうなんですよ」って答えが返って来るの場合が多いのです。
もう何回も使いまわしている画像ですが・・・・
日本人に一番多い外斜位と言われている状態の眼位です。
(たぶん日本人だけでは無く人間に一番多いと思う)
(あと内斜位や上下斜位等があります)
上の図と下の図の間違い探しです。
(上の図の左側が下の図の左側より開いている)
生物の目は機械で作られている訳では無いので、最初から左右の視線が合っている方がほとんどいなく、脳の指令のもと眼筋等が働き、左右の視線を合わせます。
そのズレ量と合わせる力をお測りして、合わせる力がズレ量より少ない場合、メガネレンズで補正をかける事が出来るのです。
本題はこれから・・・・
(前置きが無いと意味が伝わらないので)
原因が上記の眼位だったり度数だったりして、両目を上手に使えなかった方が両目をうまく使う練習に一番適している方法が「ブロックストリングス」
当店で販売している「ブロックストリングス」が売り切れていたので、百均!?で仕入れました!!!
百均で仕入れたのは、カラーの紐2m カラーのウッドビーズは手芸「トウカイ」さんで!
ウッドビーズ4個と紐1本の組み合わせで500円で販売しています!!
ウッドビーズがいくらだったかは忘れましたが、ウッドビーズのカラーを1色だけにしても問題無いのでもしかしたら500円より安く作れるかも知れませんが(笑)
10年以上前に参加した有料の勉強会でもらったやつ
ブロックストリングスと眼球運動用の紐の付いたお手玉!
「ブロックストリングス」の良い所は、自身で両目が使えているか、融像が出来ているか確認しながら輻輳と開散の練習が出来る事!!!
一番最初に考えた人天才!!と思っています!!!
[コメントする]両眼バランス検査
先日、新人スタッフへの視力検査項目で、左右の目のバランスは「視力を合わせるのでは無くて、調節を合わせる」と説明したのですが・・・・
ちょっと難しいですね。
国家検定「眼鏡作製技能士」の実技試験では、
交互遮蔽法
偏光レットグリーン
偏光文字視標 があるみたいです。
偏光レッドグリーン以外は左右眼の視力を合わせているんですけど・・・・
調節を合わせる事を極端に説明すると、
右眼の最高視力が1.0あって、左眼の最高視力が0.7の場合に単純に左右の視力を揃えると、左右共に0.7に揃える事に問題がありそうな事は直感的に解りますネ。
分かりにくい例で例えると、
右眼の最高視力が1.2左眼の最高視力が1.0の場合、両目とも1.0に合わせるのはどうか?
あれ?どうなんだ??
じゃあ、右眼の最高視力が1.5で、左眼が1.2の場合、両眼共に1.0に合わせるのは?
あれれ???
光の波長ごとに屈折率が違う事を利用して検査しているのが、レットグリーン検査
緑色の光の波長の方が屈折率が高く、赤色の方が低い事を利用しています。
(波長の屈折だけで考えると赤・青の方が良いような気がするけど、反対色の方が都合がいいのよね)
もし、矯正度数がこの状態の右眼の
の視力が1.0で、
矯正度数がこの状態の左眼
の視力が1.0だった場合、
両方の目の視力が1.0で視力は揃っていて、視力のバランスは良さそうに見えますが・・・
両眼共にこの状態だった矯正度数が左右で0.5ディオプトリー違った場合
近くを見る時、(左右眼同じ調節をした場合)焦点距離が左右の目で約10㎝ほど違ってしまって、近くを見る時に使いにくいメガネの度数になってしまいます。
この事から「メガネの度数の左右バランスは調節を合わせる」という事になっています。
座学(机上)での論理はこれで間違いが無いはずですが・・・・
人間の身体は、ちゃんと補正をかけるので、ほとんどの方はそこまで気にしないで視力合わせだけでも良いと思います。ほとんどの方は・・・・・
(当店では合わせていますが)
ただ、一部の方は、そこが出来ていないと大変不都合なメガネになってしまいます!!
当店の検査では、その一部の方の見逃しも無いように、ルーティンで全員の調節ラグ等も調べています。
それ以外にも老若共に近方(調節)状態を知っておくことで、遠用の矯正度数の確認もしています。
(以上当店のスタッフはしっかり頭に入れておいてください)
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