技術的お話
近見視力器
ある同業者の集まりのネットのクロージングサイトで、近見視力器の話題になりました。
HOYAが20年前ぐらいに製造していた、近見視標器NV-20がヤフオクでプレミアが付いて高値で取引されているそうです・・・・・
加盟しているボランタリー店の一店が廃業するにあたり、希望店の内たまたまじゃんけんで勝利した(担当者)当店がその機械を安値で譲り受けたので、当店にはその近見視力器があるので良いのですが、両眼視検査をするうえで有るととても良い視標器なのです。
ただ、両眼視機能検査を取り入れている眼鏡店はそう多くなく、近見までしっかりチェックしているとなると更に少なくなり、そう需要が無いので、それに替わる近見視力器が無いのも事実・・・・
しっかり両眼視検査を実施している店舗で、この機械を持ってない店舗は本当に欲しいのでしょう・・・・
ただ・・・・
この機械を持ってるので解るのですが・・・・
この機械の仕組みは凄く簡単で・・・・
で、その同業者のクロージングサイトで、「自作すればよいじゃん・・」みたいな事を書き込んでしまった・・・・
誰からもツッコミは無かったのですが、余計な事を書き込んで・・・・
本当に自作出来るのか・・・・・
責任感の強い僕は、ちょっとだけ心配になって・・・・
自作してみた!!!
結論から言えば、けっこうカッコよく出来上がった!!!!
右がHOYAの「NV-20」
左が、俺の手造り・・・・
問題は、右眼と左眼が別々に同時に見えて無いと、両眼視検査が出来ない事!!
上と下の視標の間違い探しではありません(* ´艸`)
HOYAの機械には無い視標も加えてみました!!!
もうちょっと改良したいところがあるのですが・・・・
またやり直すのは大変だから、勘弁してもらいます(誰に(笑))
結果から書いたので、それなりの物が出来上がったのですが・・・・
せっかくなので作り方の秘話と苦労話も・・・・
まずは光が通る透明の所と遮断する黒い箇所が必要で、透明のフイルムに印字する事にしました。
使用したのは↑これ
が・・・・
が、完全に真っ黒にはならない・・・・
(二度刷りしてもダメ・・・)
調べると、黒の下にホワイトのインクで下地を付けないといけないらしい・・・
当然そんな白のインクが入ったプリンターなどは普通なく、取引先の写真屋さん・看板屋さん・印刷屋さんに画像データを送って相談したら、こんな精密な物は出来ないし、出来てもとんでもなく料金がかかるとの返事・・・・ていよく断られる(涙)
色が薄いなら、光を通す別紙にピッタリ重ねれば良いのでは・・・・
お!!!
良い感じに出来た!!!!
が・・・・
小っちゃく一部実験した時はうまく行った偏光が、全体になると偏光視角が小さく一定の角度じゃないと視標が消えない・・・・
偏光フイルターに透明フイルムが重なると偏光の視角が小さくなる・・・・
じゃあ偏光フイルターの部分をむき出しにする!!!
で、カッテングシートの登場!!
幸い当社には小っちゃいカッテングマシンがあるのです!!!!
が、けっこうな年数使用して無かったので、アプリが更新されていて使えない(汗)
一からユーザー登録をし直してアプリをダウンロード・・・・・
(超メンドクサイしなんかうまく行かない・・・)
使い方を思い出しながら、何とか自作出来た・・・・
で、張って見た!!!!
偏光度合はバッチリだが・・・・
裏に貼り付けた偏光フィルターが、デコボコと表から見えちゃって見た目が最悪・・・・
で・・・・
偏光フィルターとプラスチックフイルムとの相性が悪いのでガラスに張りつけてみた・・・・
どうせならガラスの内面に張ってみたら、写真では解りにくいが空気だまりと反射が・・・・・
細い文字をカッテングする場合はこの空気を出しやすいのですが、大きい面だと綺麗に追い出すのは無理・・・・
で外面で再製作・・・・
で一応完成!!!!!
クロスリンク視標「◎」がいまいちで、 (カッテングシートのデータをやり直す) 完璧な改良案も出来ておりますが・・・・
自作出来る事が確認出来て、満足したからもう一回やり直す事はしません。
ここまでかかった費用は4千円ほどですが・・・・・
夜な夜な実験していた俺の人件費を時間で計算すると!?!?(笑)
イラストレーターソフトを使えるスタッフ井上さんにも、あれ書いてこれ書いてと、ここをちょっとこうして、下の図とずれたらあかんよ・・・・
消費税増税で値札を早く付け替えないといけない中うっとうしかった事でしょう(笑)
[コメントする]調節機能解析ソフト
最近TVで紹介されたらしい!?調節機能解析ソフト!!
当店に設置しております!!
リクエストがあれば、喜んで測定させていただいておりますが全員に測定している訳ではありません。
リクエストの有った、44歳の方の測定データです。
ほぼ問題がありませんが、ほんの僅かの老眼と、それが原因と思われる右眼が40㎝から近方視するときに無理がかかっているみたいですね。
手元作業用の眼鏡か、遠近両用眼鏡がお勧めですね!!
当店がこちらから測らせてもらう場合は、だいたい問題がある場合が多いです。
今回も・・・・
15歳 強度のミックス乱視・・・
まずは円錐角膜や不正乱視を考えなければなりません。
まずは眼科さんなのですが、既に眼科さんに行っていて病的な事は問題無く、円錐角膜的な事は何も言われてないとの事です。
前のブログにも書きましたが、今年の眼鏡士の生涯学習で、眼科の先生の講習にも出てきたオートレフを用いた可能性の測り方を試してみても、安定している・・・
問題は、この子は常に眼鏡を掛ける事はしないで、普段物をしっかり見ようとしていない事・・・
「眼鏡をかけると、さらに眼が悪くなる」「眼鏡をかけると、度数が進む」という風評・・・・
確かに近視の強すぎる眼鏡(過矯正)をかけていると、それに慣れる為に眼が近視化する可能性がありますが、物をしっかり見ない方が近視が進む研究結果も出ています。(僕もこの説には経験から賛同)(不同視の場合度数の強い方を弱矯正しすぎるとどんどん度数差が増えるような気がします)(大昔は左右度数差を-2.0(網膜での大きさの差5%)までにするのが良い的な迷信)
目から入る情報量は80%とも言われています。
しっかり見て脳細胞をしっかり使わないと!!!
この子は上下斜位も見つかりましたが、まずは眼鏡を常用して、両目でしっかり物を見る事が大切です!!しっかり見ること今までサボってた眼筋や毛様体筋も簡単に鍛えられる事でしょう!!
当店には、眼鏡をかけたくなるような素敵なメガネちゃんがいっぱいありますからね!!!
[コメントする]#認定眼鏡士#生涯教育 #円錐角膜
認定眼鏡士の義務として、3年間に3単位以上講習を受けてお勉強しないといけません。(このブログでも何回か書いてますが、今回は円錐角膜の話)
眼科講習に眼科のドクターが講習をしてくれる会場は全国でも少ないらしいそうです。
福井会場は、前福井県眼科医会会長の山岸先生が例年講義をしてくれます。
眼科専門医大生も、さらに専門分野を研究しないといけないらしく山岸先生の専門は角膜で、今回の内容は先生の専門分野ですね(講習内容は技術者協会が決めてます)山岸先生の講習は実務でのエピソードを交えて、勉強になりしかも面白い!
福井大学医学部でも授業を受け持ってるらしく話もしっかり入ってくるのです。
その時の僕の知識の中では、「円錐角膜は角膜が円錐状に出てきて眼鏡での矯正は難しく、ハードコンタクトでの矯正になる。」基本中の基本ぐらいでした。
上の新聞記事の中にもあるように円錐角膜になる確率は1000人から2000人に一人の割合みたいですね。当店で疑いがある方や眼科で円錐角膜と診断されている方は2.3人ぐらいで、そう多い割合では無いのです。(軽度の円錐角膜で普通に眼鏡で視力の出ている人を除く)
当然当店では、診察も診断も出来ませんししませんが、眼科に行ってもらう事は出来ます。
本日来店いただいた、16歳高校2年生の女の子
初めての眼鏡で裸眼視力が0.6
ここからは、かなり専門的になりますが・・・・
他覚値が、かなりの強度角膜乱視・・・・
でも裸眼視力が0.6!やるな高校生(若いから調整力がある?)
さすがにお客さんの眼を写真に撮れないので、嫁の眼なんですが……
写真のS値が全近視 C値が全乱視 R1が縦方向の角膜度数 R2が横方向の角膜度数 になってます。
嫁の眼は、眼鏡屋にあるまじき正視で視力がむっちゃいいのです。S値もC値も0
(ただしまあまあの老眼で、本日自分用の遠近両用の加入度(老眼)を強めて眼鏡新調して、近くが見える!!と喜んでました(笑)
但し、角膜は縦方向の度数が強い倒乱視で、角膜以外の所でその乱視の分が丁度相殺されている事が予想されてます。
画像左上の反射リングもほぼ真円です。
一方高校生のリングは楕円状で数値が表示される前から強めの直乱視は予想されたのです。(タブンですが円錐角膜の場合はそう楕円状にはならないのではないでしょうか?富士山の等高線状?)
その講義で習った事は、「円錐角膜は下方の方に出てくる場合が多いから下方の方もレフを当てると良いですよ・・・」
で、下方に当てようとすると、自動で真ん中に行ってしまう(汗)
当店の機械はいいやつなので、自動で中心を追尾ロックオンしちゃうのですね(笑)
写真画像の3DAを解除すれば良いだけですが・・・・
まあ乱視の数値も安定してるしと思って自覚検査を進めると・・・
クロスシリンダーが安定しない・・・通常のクロスとオートクロスじゃ反対の方を指摘するし・・・
念のため角膜上方にレフを当ててみると・・・
ほぼ単性乱視値が・・・・・
(レフ紙の時間経過等を見れば、その時の僕の行動思考が思い出される(笑))
自覚値での視力もそこそこ出るのですが、メガネを作る前に眼科を受診してもらった方が良いと判断して、眼科に行ってもらう事にしました。
なんともなければ良いのですが。
その講義で学んだことは、
円錐角膜は5対1(教本は3対1)で男性の方が多い事。
遺伝要因が多い事と、40歳ぐらいまで進行する事。
現在の医療は、円錐角膜の進行を止める治療が出来る事
安心して眼科受診していただくことが眼鏡技術者の役目である事 等々です。
[コメントする]本日は七夕です・・・・
彦星と織姫は会えているのでしょうか・・・・
とおっさんがロマンチックな事を書いてみましたが・・・・
お空は、曇り空・・・・
(青っぽく映っているのは。、一眼レフのホワイトバランスが蛍光灯になってました(汗)ムズイぜD500)
厳密には、この写真は二・三日前に撮ってますが、今日も同じ感じです(汗)
本当は、書きたかったのは、「調光レンズ」の事!!!
僕の一眼レフと同じニコンの調光レンズ
室内では、ほぼ無色なレンズカラーが、この曇り空でも、
この通り着色します。
スタイルカラーの4色は、紫外線に反応するタイプで、エクストラアクティブは、可視光線にも反応する為、UV(紫外線)カットガラスを使用した車の中でも着色します!!
着色スピードは
ニコン・エクストラアクティブの場合
その他HOYAレンズですと、グリーン・グレー・ブラウンの3色(HOYAサンテックディープカラー) があって、あまり濃くなりたく場合には、ミスティパープル・ミスティブルー・ミスティロゼ・ミスティアッシュグレイの4色(HOYAサンティックミスティライトカラー)があります!!!
[コメントする]いろいろな質問してみました!
認定眼鏡士の講習会の続きです
福井県の場合、講習会の後、場所を変えて懇親会が開催されます。
参加するのは役員さんが多いのですが、講習会参加申し込みの返信ハガキにも、懇親会の参加・不参加の欄があるので、福井県所属の認定眼鏡士なら誰でも参加できます。
例年、眼鏡技術者協会の教育部長の内田先生も参加されるので、講習会の直後の大勢の前での質問はしにくいけれど、懇親会の場での質問はしやすいのです。
講習会の中でも話に上がったのが、検眼室の個室化とその明るさ調整
講習会参加店の中で個室化していると手が上がったのが、そのうち二社!!
当店もその内の1社で、店舗改装時にどうしてもやりたかった事の一つでした。
ただ個室にしてLEDのダウンライトにしたため、想定外の事態が!?
フォロプターに付いてる近見視力表に、上の棒の影がクッキリと出てしまう・・・
(写真バックの壁の色が黒の為、部屋が暗く映ってますが、影がクッキリ出るという事は照度は十分なんです。後に解説)
で、どうしたかと言うと、フォロプターに付いてるLEDライトと手元灯を近見視標に当ててみました!!
だいぶん薄くなりましたが、まだ影は出てしまいます・・・・
で、原因のLEDダウンライトを消すと、
当然影など出ません!!!!
実際こうやって測定していたのですが、このやり方は問題が無いのか???
先生曰く「輝度」なので、そう問題がないんじゃないかとの事でした。
(輝度と照度を復習しましょう)
自分の眼で確かめてはいましたが、一抹の不安が払拭されました(笑)
もう一つは、夜間視力(夜間度数)について
当店のオートレフケラメーターは、瞳孔の中心地点と周地点を測ってくれて、瞳孔が開いてる場合の度数も測定してくれます。
右眼が僕で、左眼が嫁です。
(For day と For night)あくまで参考値ですが、僕は夜間は近視が強くなり、嫁は夜間乱視が強くなります。(しかし嫁はほぼ正視・・・小さい頃勉強しなかったのでしょうか(笑)
試しに暗室と通常で、オートレフを採って見たらどうなるか実験してみました。
あれ、レフケラの中の視標は、晴天だ!!!(笑)
さきほどの照度と輝度の関係でいうと、瞳孔の大きさは変わらないのか????
レフケラにはモニターが付いてて、瞳孔の様子が大きくなってよくわかります!!
結論から言うと、他覚値は部屋が明るくても暗くても、変わりませんでした。
瞳孔の大きさは、明るい→暗い は、ほぼ変化なし
暗い→明るいは、照明を付けた一瞬だけ、縮瞳してすぐ元に戻った。
(自律神経に支配されてる瞳孔反応は明るさだけの変化では無く、瞳孔反応は複雑です)
当店の視力測定室は、省スペース型の視力表を使用しております。
省スペース型の欠点は、調節ラグが取り切れないのでは?との事です・・・・
ここで調節ラグの説明を・・・・
自分の「1m先に置いた鏡」と「1m先に置いた風景が映ったTVモニター」を比べると、TVモニターの中の遠い先に有るような風景画像を見ても、人間の眼は1m先の物を見る調節を使って1m先のモニターを見てしまいます。
片や1m先の鏡は、鏡に映ってる自身は2m先の調節、自身の背後に映っている風景は無限遠を見るように調節はせずに見て、遠くの風景も近くの自身もどちらにもピントを合わせる事が出来ます。(モニターに映ってる画像では出来ません)
省スペース型の視力表は、この原理を利用して、視標が機械の中の5m先にあるように設計しておりますが、実際の機械が1m先に有ると1mの調節が入りかねないとの考えです。
当店では、機械自体を壁の中に埋め込んで機械を見えなくして、壁に穴を開けてその穴が5mあるように心理的にも思わせています。
(子供を測定していると親御さんが後ろから視力表を見たがりますが、なんせ5mもある細長い穴ですので、被験者の子供と目線の位置を合わせないと視標は見えません)
あれ、ラグの説明と微妙にずれてる(笑)
視力機器を埋め込んだ、もう一つの理由が、両眼視検査の時、右眼左眼別々に分離させて見せるのですが、利き目の視標は機械の中に見えるのですが、非利き目の視標は、機械から外れて見えてしまう(もしくは機械が二つ見える)ため機械自体を隠すことにより、測定が正確にしやすくするためです。
長い・・・(汗)
話を夜間視力(夜間度数)に戻すと、いくら検査室を暗くしても、視標の輝度が明るいと意味があまりありません・・・・
当店には輝度をも調整できる視標もちゃんと完備してます!!
通常時↑
暗い時(輝度を落とす)↑
夜間の眼鏡度数の自覚検査をする時は、輝度だけで良いのでしょうか・・・・
被験者がいる測定室の照度を落として、視力表の輝度も落としてみました!!!
なんか変(笑)
視標のある部屋の照度はどうしたら良いのでしょうか(笑)・・・
お客様が「夜の運転の時見にくいんだよな・・・・」と言われる方がよくいます。
その場合、僕「夜の運転に使用する時間はどれくらいですか?」とお聞きします。
ほとんどの方が、夜の運転で使用する割合は少ないのです。
その少ない時間に合わせた眼鏡を常時使用するのは、あまり賢明とは思われません。
夜間運転に使用する眼鏡は、夜間専用に別に作った方が賢明です。
夜間運転をするプロのドライバーさん等、夜間用の専用眼鏡、当店ではしっかり測定いたします!!!!
上の写真でも大丈夫だと思いますが(笑)一応指標があるところも暗くしますので、日没後の来店をお待ちしております!!!!
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